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'07-'08シーズン。ヒルにとってキャリア3チーム目となったサンズは、前回も述べたとおり、優勝まであと一歩届かない強豪でした。マイク・ダントニの超攻撃的スタイルのバスケットボールはリーグを席巻していたものの、一方で先発メンバーの出場時間が非常に長く、シーズンを戦い抜くには選手層が薄いのでは?という危惧もありました。そんな中でのヒル獲得により、サンズの先発ラインアップはナッシュ、ベル、ヒル、マリオン、アマレという布陣になり、これでバルボサに加えてディーオウがベンチから出場する機会が増えました。

ヒルの獲得に動いたのはスティーヴ・カーでした。TNTで解説者を務めてきた彼はこのシーズンオフにサンズの社長兼GMに就任したのです。現役時代はサンズでプレーする事はなかったカーでしたが、地元アリゾナ大でプレーしていた経歴から来る人事だったものと思われます。

ヒル本人の思惑通り、ヒルはサンズのシステムにフィットしました。70試合中68試合に先発したヒルはFG成功率.503で13.1得点5.0リバウンド2.9アシストをマーク、長期欠場に悩まされる事も無くシーズンを過ごします。チームも55勝27敗、決して悪いものではありませんでした。ただ、カーは今のままのサンズではレイカーズやスパーズに勝てないと考え、大きな賭けに出ました。シャキール・オニールのトレード獲得です。

当ブログより「シャック・マリオンの移籍確定」

マリオン+マーカス・バンクスでヒートからシャックを獲得したこのトレードが、レイカーズのガソル獲得トレードに触発されたものである事はほぼ疑い無いところでしょう。今までと同じ事を繰り返していても勝てない、だったらギャンブルだ・・・この果敢な方法論自体には、私は今もって異論はありません。そもそもナッシュやヒルが主力選手である時点で、サンズは中長期よりここ数年ですぐ頂点を狙うべきチームだったのですから。問題は、シャックというNBA史に残るタレントが、しかしダントーニのバスケ哲学と合致しない選手だったということでしょう。

その体の大きさの割には走れるのがシャックという選手の凄いところですが、とはいえシャックももう30代半ば。膝の負担を考えても、攻守の切り替えが激しいサンズの速攻中心のプレースタイルと、ハーフコートでのプレーで生きるシャック個人の資質を噛み合わせるのは難しそうに映ります。しかし、カーの狙いは明瞭でした。即ち、かつて'80年代、ショータイムバスケットボールで一世を風靡した時代のレイカーズにおいての、キャリア終焉に差し掛かっていたカリーム・アブドゥル・ジャバーと同じ役割です。カリームはあの当時、ディフェンスリバウンドを奪うとすぐにマジックないし他の選手にパスアウトし、速攻でフィニッシュ出来ればそのまま自陣ゴール近くからあまり離れずにディフェンスに戻り、速攻に行けなければ悠々と敵陣ゴール下でポジションを取ると、得意のスカイフックを炸裂させていました。

つまり、シャックにはチームの持ち味である速攻の基点となるリバウンダーであると同時に、速攻で攻め切れない場合のハーフコートオフェンスでのフィニッシャー、そして言うまでもありませんがインサイドのディフェンスの要という役割も当然期待されていました。更には時として精神的に未熟なところも散見されていたアマレ・スタッダマイヤーの教育係、という任務もあった訳です。一石何鳥をも狙っていたカーのシャック獲得、今冷静に考えてみてもなかなかの奇手だったと思います。

しかし、結局のところダントーニ指揮下ではこのチームは上手く行きませんでした。プレーオフ1stラウンドの相手は宿敵スパーズ。シャック獲得という賭けも思えばスパーズ対策だった訳で、ある意味願ったり叶ったりだったこのマッチアップは初戦から縺れます。何しろレギュラータイムはスパーズ(新人時代はサンズでしたね)のフィンリーが3ポイントを決めてOT突入、そしてそのOTも最後にダンカンに執念の3を捻じ込まれてダブルOT突入という火の出るような熱戦。そして、スパーズのこの鬼気迫る執念にサンズは屈し、第1戦を落とすとそのままズルズルと3連敗。結局1勝4敗と前年より更に一歩後退しての悔しいプレーオフ敗退となりました。ヒルのプレーオフシリーズ未勝利記録がまた一つ更新されてしまったのです。

そしてヒルにとってまたしても皮肉だったのが、ヒルが出て行ったマジックがイーストで躍進、プレーオフ1stラウンドを突破した事。ヒルがいなくなったことで出場機会の増したタコルーがMIPを受賞するというおまけまで付きました。そう、ヒルが出て行ったチームは実は成績がその後上昇しているのです。マーブリーもよくそう指摘されますよね。マーブリーの場合はチームに与える悪影響が目に見えて顕著ですが、ヒルの場合そういうファクターが本人に無いにも拘わらずこの結果ですから本当に皮肉としか言いようがありません。

ともあれこの1stラウンド敗退という結果を受けて、それまでも上手く行っていないと言われていたカーとダントニの関係は更に悪化、結局ダントニはサンズを去ってニューヨークへ向かいます。そしてサンズはテリー・ポーターを新たにHCとして迎えて'08-'09シーズンを戦う事となったのです。カーとダントニ、どちらが正しかったのかというより、互いのバスケ哲学が相容れなかったということでしょう。プロスポーツ界では珍しくない事です。

それに皆さん思い出して下さい。かつてドン・ネルソン指揮下でパワーアップしたマヴスは、しかしネルソンHC時代にはプレーオフで上位まで勝ち上がれなかったのに、後任のエイヴリー・ジョンソン時代にファイナル進出を果たした事を。そう、オフェンス一辺倒だったHCの後、ディフェンスをもキッチリフォローしたからこそマヴスはファイナルまで辿り着けたのです。カーがこの事をも念頭に置いていた可能性もあるんじゃないかと私は睨んでいます。

今、サンズの成績はといえば本日(3/4)時点で34勝25敗でウエストの9位、マヴスを1.5ゲーム差で追っています。主力選手の故障が相次いだこともありますが、残念ながらポーター体制はサンズでは機能せず、着任初年度にしてポーターは更迭。サンズは更に弱体化したようにさえ思えました。

ですが、ポーター辞任を受けてアルヴィン・ジェントリー体制となったサンズはハイパーオフェンスが復活。アマレもナッシュさえもいない時でさえ130点越えゲームが散見されるという予想外の爆発振りです。そんな中にあってヒル自身もここまでFG成功率51.8%、10.9得点4.7リバウンド2.1アシストとややスタッツは落ちているように見えますが、プレーの質は依然落ちていない印象です。踵の怪我が相次いで長年まともにプレー出来なかったヒルですが、結果としてそれ以外に体への累積ダメージが少ないという事が不幸中の幸いになっているのかも知れません。

現在スモールラインアップのためPFでプレーしているヒルがこのままあと何シーズンプレー出来るのか、それは分かりません。今季サンズで悲願の1stラウンド突破なるか、そしてサンズがどこまで勝ち進んで行けるか、サンズとの契約終了後にヒルはどこへ向かうのか・・・残り時間は少なくなっていますが、ヒルの挑戦はまだ終わっていないのです。

ヒルがNBAでのプレーにピリオドを打ち、ユニフォームを脱いだ時、私は改めて「エピローグ」を書きたいと思います。かつてNBAを代表するスーパースターだった、そして今もまだ一流の水準でプレーし続けるSF、グラント・ヒル。彼のキャリアが現役の間に報われる事を祈りつつ、今はここで筆、もといキーボードを置きましょう。



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