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遡って1998年ドラフト。モーブリーが2巡目でロケッツに入ったそのドラフトで、4位指名権を持っていたラプターズはジェイミソンを指名します。ノースカロライナ大時代から彼の名前は轟いており、NBAでもその実力は間違い無く通用するだろうと期待されていた逸材であります。が、直後にラプターズはウォリアーズが5位で指名したジェイミソンのチームメイトにして親友、ヴィンス・カーターとトレードしたのです。

よく知られている通り、T-MACとヴィンスは血の繋がりはありませんがいとこです。幼少の頃は交流の無かった2人は学生時代にたまたま知り合い、後で家族にいとこである事を聞かされたという珍しい経歴を持っています。互いをいとこだと知る前から気が合ったこともあって、T-MACはカーターの獲得をチームに薦めたのです。それはT-MACにとって成功でもあり、失敗でもあったかも知れません。

ロックアウトの関係で全50試合の短縮シーズンだった'98-'99シーズン、新人王争いは当初キングスでウェバーと組んでいきなりブレイクしたジェイソン・ウィリアムズがリードするかと思われましたが、やがてカーターが台頭し始めます。1年目から次々とド派手なダンクを連発し、またクラッチタイムでの強さをも見せたカーターは歴史の浅いラプターズに遂に現れた、フランチャイズの柱となり得る逸材だったのです。T-MACは自ら推薦したいとこに先を越される結果となりました。NBA.comで特集ページまで組まれる程に注目を集め、新人王を獲得するに至ったカーターの影で、T-MACは49試合中2試合にのみ先発し、平均22.6分、9.3得点5.7リバウンド2.3アシストとまだまだスターダムには程遠い存在でした。

しかし、そんなT-MACもいよいよ翌'99-'00シーズンには飛躍を見せます。79試合中34試合に先発の機会を得たT-MACは31.2分の出場機会を与えられ、15.4得点6.3リバウンド3.3アシストをマークします。更に1.1スティール1.9ブロックをも達成して、チームのディフェンシヴストッパーとしてのポジションをまず築き上げました。カーターとT-MACのコンビはブルズ時代のジョーダンとピペンに喩えられたものです。本人達もそれは意識していた節があり、実際当時の「SLAM」誌のインタヴューなどでは彼らの口からそういったコメントがされていたりします。後からチームに加わったヴィンスより自らのブレイクが遅れた事もあってか、T-MACは明らかにカーターが主、自分が従というスタンスでした。

そして、このシーズンのオールスターがやってきたのです。開催場所はドラフトで本来カーターが行くはずだった場所、ゴールデンステイト。カーターがファン投票トップで本選にも選出されていた中、この年大注目されていたのはダンクコンテストの復活だったのです。本来オールスターサタデーの華だったダンクコンテストは、しかし技のパターンが目新しくなくなった事もあって'97年を最後に開催されていませんでした。しかし、ヴィンスをはじめとする若手選手達の熱意が実り、この2000年に遂に復活を遂げたのでありました。毎回微妙にルールが変わるダンクコンテストですが、この時はこういったルールでした。

・エントリーは6選手+各パートナー1名ずつ
・予選で3回、本選で2回ダンク
・リムに当たらない失敗ダンクなら、時間内であればやり直しOK
・予選3回のうち1回はパートナーのアシストが必要

永久に語り継がれていくであろうこのコンテストの参加メンバーとそのパートナーは以下の通りでした。言うまでもありませんが所属チームは全て当時のものです。

アントワン・ジェイミソン(GSW)→怪我の為不出場
ラリー・ヒューズ(PHI)with アレン・アイヴァーソン
トレーシー・マクグレディー(TOR)with ヴィンス・カーター
スティーヴ・フランシス(HOU) with カッティノ・モーブリー
ヴィンス・カーター(TOR) with トレーシー・マクグレディー
ジェリー・スタックハウス(DET) with グラント・ヒル
リッキー・デイヴィス(CHA) with エディー・ジョーンズ

何気にパートナーがかなり豪華ですね。なお、リッキー・デイヴィスはジェイミソンの代理出場。彼が当時所属していたのはあくまでシャーロット・ホーネッツですので念のため。では、伝説のダンクコンテスト、ノーカットでご覧下さい。



結果だけ言ってしまえば、このダンクコンテストはヴィンス・カーターの独壇場でありました。しかし、T-MACとフランシス、2人の存在がコンテストを一層盛り上げた事もまた事実。ヴィンス程には技に独創性が無かったものの、彼に負けない圧倒的な運動能力を見せつけたT-MAC、そしてPG離れしたジャンプ能力でスパッド・ウェブ以来の小兵ダンカーで魅せたフランシス。2人とも、ジョーダン以降のダンクコンテストの水準でなら十分優勝を狙えるレヴェルの高さだったと言えるでしょう。

かくて、ダンクコンテストは昔日の勢いを取り戻しました。いや、ちょっとやりすぎた感さえあります。この後のダンクコンテストでヴィンスを、そしてT-MACとフランシスを越えるインパクトのダンクを繰り出せた選手が果たしてどれほどいたでしょうか?ヴィンス越えはあまりに難しいにせよ、T-MACとフランシスの域に届いたダンカーさえ決して多くは無いはずです。それほどまでに、このミレニアムを飾るダンクコンテストはレヴェルの高い争いだったのです。それはこの映像が雄弁過ぎるほどに語っているでしょう。その後のダンクコンテストチャンピオンでも、この年にエントリーしていたら決勝進出出来た選手はジェイソン・リチャードソンとジョッシュ・スミスぐらいなんじゃないかと思えてなりません。

このダンクコンテストをもって、ヴィンスの名声はいよいよ揺るぎ無いものとなります。そしてT-MACもその傍らでリーグの注目を引く存在となりつつありました。実際、このシーズンにラプターズは45勝37敗でチーム史上初のプレーオフ進出を果たします。1stラウンドでニックスと対戦したラプターズはT-MACを3試合全てで先発に入れたのです。しかし、16.7得点7.0リバウンド3.0アシストをマークしたものの、FG成功率は.370と低迷。チームもニックスにあえなく3タテのスウィープ負けを喫したのです。

それでもヴィンスとT-MAC、このタンデムでラプターズはリーグのエリートチームへと駆け上がる・・・そう信じたのはラプターズファンだけでは無かったはずです。しかし、仲良きいとこだと思われていた2人に、思わぬ溝が出来ていた事を我々は知る事となったのでした。

(以下、マクグレディーマジック移籍編へと続く)

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