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"On the road, I always go for 3s. I knew it was coming. You knew it was coming. The crowd knew it was coming."

「ロードではいつも3で行くんだ。俺も(3が来るのを)分かってた、あんたらも分かってた。観客だって分かってたさ」

私がNBAを見始めて20年になりますが、これ以上格好良い台詞を吐いた選手を未だ知りません。お待たせしました、新シリーズ第1回目は以前からの約束通り、レジー・ミラーです。

ただ、ミラーともなると正直知名度はまだまだ高いですし、何度と無くD誌やH誌で特集される事も珍しくありませんから皆さんもある程度基本的な情報はご存知ですよね。生まれつき足が曲がっていた事、女子バスケット界のスーパースターだった姉シェリルにはなかなか敵わなかった事、UCLAでのキャリア得点数2位、単独シーズンでのUCLA記録3つ(総得点数、平均得点、FT数)、NBAでの彼の名声を決定的にしたニックスとの名勝負数え歌、'95年のカンファレンスセミファイナルで見せた8.9秒で8得点の奇跡、スパイク・リー監督とのトラッシュトークの応酬、マイケル・ジョーダンを相手にしてもなお怯まない鼻っ柱の強さ、レイ・アレンに抜かれるまで1位だったキャリア通算3ポイント成功数。彼のキャリアはリングを持たない選手とは思えないほどのエピソードに満ち満ちています。

http://www.kaiyou-k.jp/millerretsuden.htm
http://blogs.yahoo.co.jp/ilovenbanak/16674456.html

ざっと検索してみても、ミラーについて熱く語った記事はネットに既に複数あります。ですので、今回はミラーのプレースタイルやキャリアを細かく振り返っていく作業は先達の皆様方の記事にお任せし、私は私なりの視点でミラーの魅力を語りたいと思います。

NBAというリーグの主役はジョーダンのような看板役者、そしてレイカーズやニックスのような大都市チームである事に今も昔も変わりはありません。そんな中にあって、インディアナ・ペイサーズという決してリーグのメインストリームでは無い、しかもABAから合流してきたやや外様のチームでプレーしたミラーという選手は、ブルズやニックスといったリーグのメインストリートを行くチームに対してのカウンター的な存在であり続けたのです。

別に本人が望んでそうなった訳ではありません。実際、彼もFAでニックス行きを狙っていた事がありました(代わりに入団したのがアラン・ヒューストンだったと当時言われました)。ペイサーズでキャリアを終えた事は実は偶然の要素もあった事は確かです。その意味では巨人志望でありながらドラフトで指名されなかった恨みをぶつけて巨人キラーと化した、現役時代の星野仙一に近いものがあるかも知れません。



ニックスとのプレーオフ対戦時にスパイク・リーとやり合った時の、このミラーの闘志溢れる表情を見て下さい。もしかしてシュートが外れたらどうしよう、なんて弱い気持ちは微塵も感じられません。むしろ彼の表情は絶対に決めてやる、という自信に満ち溢れているではありませんか。アウェーのプレッシャーなどお構い無しのこのメンタルタフネス、現役選手でそうはいません。後日、スパイク・リーとも交流が出来たのみならず、ニューヨークに編集部があったSLAM誌でも、決して不可能だろうと思われていた表紙掲載を勝ち取ったのは、彼のプレー振りをニューヨーカー達も認めたからこそでしょう。



'93年、対ブルズ戦でジョーダン相手にぶつかっていって両者テクニカル&ミラーのみ退場なんて事もありました(乱闘は動画40秒ぐらいから)。そもそも乱闘してなんで片方だけ退場なのかって話なんですが、既にリーグのトップスターとして君臨していたジョーダンに向かってこういう事を仕掛けたところで、同じような扱いになる訳が無いんですよね。でも、そんな事ミラーには関係無かったのです。

それどころかミラーはジョーダンというスーパースターについて「妬んだ」とまで言ったそうです。「尊敬する」とか「ライヴァルだ」とかそんなレヴェルじゃありません。「妬んだ」んですよ。この台詞、なかなか出るもんじゃありません。この発言もまた、ミラーの闘争心の表れだと言えます。



そんな彼だからこそ、このジョーダンをフッ飛ばしての逆転3ポイントを決めて'98年のカンファレンスファイナルで常勝ブルズを後一歩まで追い詰める事が出来たとも言えます。ジョーダンを擁してブルズが優勝した6回のプレーオフでの行程において、ブルズ相手に3勝4敗まで持ち込めたチームはこの時のペイサーズ、そして'92年のニックスだけなのです。

そして冒頭に紹介した台詞。これは、'01プレーオフ1stラウンド、対シクサーズ初戦で決勝3ポイントをアウェーで叩き込んで勝った後の記者会見でのコメントなのです。両者は3年連続プレーオフで合間見えており、この前2回はペイサーズが勝利。そんな因縁のある対戦、しかも第1戦であの言葉を言えるのはちょっと凄いです。もっとも、結局この時はシクサーズがシリーズを制する事となりました。

この前年にペイサーズはファイナルまで勝ち進むもレイカーズの前に敗れ去り、この年にはそのペイサーズを倒したシクサーズがファイナルでレイカーズに唯一の黒星をつけるもこれまた敗れる事となります。レジー・ミラーとアイヴァーソン、共にアンチヒーロー的な2人のエースのキャリアが交差した瞬間でもありました。



結局、ミラーにとって唯一のファイナル進出時にはミラータイムはほぼ見られる事はありませんでした。その後もキャリアは続いたものの'04年11月のペイサーズ対ピストンズの大乱闘劇があった翌シーズン、そのピストンズとのカンファレンスセミファイナルでの敗戦を最後に遂にユニフォームを脱ぐ事となります。一度はニックス行きに心が傾いたこともあったものの、カール・マローンやペイトンが優勝の機会を求めて格安の契約でレイカーズ入りを果たした時には「俺はリング欲しさの移籍なんかしない」と彼らしい毒を吐き、結局はペイサーズでキャリアを全うしたのです。後日、セルティクスでBIG3が結成された時も声が掛かった彼でしたが、この発言通り彼は現役復帰はしなかったのです。

今や解説席での姿が増えた彼ですが、ここでもレポーターとして大活躍中の姉シェリルに一歩後れを取ってしまいました。選手としてのみならず、今度は画面の中で姉弟の対決は続いているのです。3ポイントの記録においてレイ・アレンが彼を追い抜いても、その手にリングが無くても、レジー・ミラーという選手の残したインパクトはそう消えるものではないでしょう。試合終盤、背番号23の次に恐れられた背番号31の反逆者スピリットを、放送席で彼のスーツ姿を見る度に噛みしめながら思い出していきたいと思います。





マクファーレントイズ NBA フィギュアシリーズ7 レジー・ミラー/インディアナ・ペイサーズ
マクファーレントイズ NBA フィギュアシリーズ7 レジー・ミラー/インディアナ・ペイサーズ