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http://espn.go.com/nba/story/_/id/7817857/

多忙につき少し取り上げるのが遅くなりましたが、久々に訃報です。'90sNBAファンなら微妙に聞き覚えがあるだろうビッグマン、ドウェイン・シンサスが43才という若さで逝去しました。

名前からしてユーロの方かと思われそうですが、彼の国籍はアメリカです。フロリダ州ブランドンにて生まれたドウェイン・ケネス・シンサスは高校もそのままブランドン高校へ通いました。恐ろしい事に、この時点で既に7フッターだったシンサスは当然ながらセンターとして高校バスケ界を席巻、フロリダ州のMr.バスケットボールアワードのファイナリスト、毎度御馴染みマクドナルドのハイスクールオールアメリカン選出などの栄誉に浴します。地元志向なシンサスはそのままフロリダ大へと進学しました。

フロリダ大でシンサスは屋台骨となって奮闘します。得点、リバウンド、そしてビッグマンとしては驚くべき事にFT成功率の3部門でチームトップを取った事さえあるのです。また彼の1シーズンあたりのブロック数はフロリダ大チーム記録のトップ3を未だに独占しており、合計ブロック数も歴代1位。得点でも歴代6位にランクインしてますね(以上全て'12年4月現在)。今でこそNCAA界屈指の名門校としてNBAにもマイク・ミラー、ホーフォード、ヨアキム・ノアなどのNBA選手を輩出しているフロリダ大ですが、このシンサスが加入して初めてNCAAトーナメントに登場したのです。しかもシンサスがまだ1年生だった'87年にいきなりトーナメント初見参でスウィート16入りですから大したものです。結局シンサス在学中の4年間の間にフロリダ大はNCAAトーナメントに3回連続出場、またサザンカンファレンス(SEC)でのレギュラーシーズンチャンピオンも獲得。シンサス個人もオールSECチームに選出されました。

http://blogs.orlandosentinel.com/en_fuego/2012/04/dwayne-schintzius-death-farewell-to-a-free-spirited-gator.html

ただ、シンサスはHCと衝突したり、対戦相手の選手やファン、マスコットと揉めたり、ナイトクラブの駐車場でテニスラケットを振り回して同じフロリダ大の学生に怪我をさせて4試合の出場停止を喰らったりもしていました。もっとも、その出場停止処分空けの試合で相手チームの観客からテニスボールがコートに投げ込まれ、なんとこれがテクニカルファウルとなってFTをフロリダ大が得て、それを当のシンサスが決めてOTに持ち込み、最終的に勝ってしまったなんてエピソードもあります。・・・どこかに無いですかね、この試合の動画。

FloridaLobster


シンサスのトレードマークといえば何と言ってもこの髪型。日本でもレスラーやヤンキーの兄ちゃんなどのヘアースタイルで御馴染みのこのヘアースタイルからシンサスには「ロブスター」というニックネームがつきました。そんなキャラ立ちしていたシンサスですが、そのヘアースタイルを止めるか否かを巡ってシンサスと上手くやれなかったHCは結局解任され、後任のHCとも上手く行かずでシンサスはチームを離れてしまいました。フロリダ大がシンサス4年生時にNCAAトーナメントに出場していない理由、お分かりでしょうか?FG成功率.552の19.1得点9.5リバウンド2.5ブロックと化け物じみたスタッツを並べていただけに残念ですね。

http://nbadraft.net/nba_draft_history/1990.html

そんなシンサスも'90年、NBAドラフトを迎えます。7-2に達していた巨体とブロックショットのスキルを考えれば本来ならビッグマン慢性不足のNBAから期待されても良さそうなものですが、精神的な未熟さを見られたか、指名順位はカレッジ時代の成果からは低い1巡目24位でした。しかも既にデヴィッド・ロビンソンを要するスパーズの指名です。控えセンター要員にってイメージでしょうか。そして残念な事に、結果としてはそれでも高過ぎる順位指名だったのです。

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シンサスは都合8シーズンのNBAキャリアにおいて、スパーズ、キングス、ネッツ、ペイサーズ、クリッパーズ、そしてセルティクスと実に6チームを渡り歩くジャーニーマンとなりました。そしてその8シーズン全て、フル出場どころか最大43試合にしか出場出来なかったのです。キャリア平均で4割そこそこしか行かないFG成功率からは高得点を期待出来る訳も無かったのです。その原因は、あるいは新人時代に負った背中の故障だったかも知れません。

http://www.basketball-reference.com/players/s/schindw01.html

36分スタッツ換算でさえも、シンサスのNBAでのスタッツは1年目の14.3得点10.9リバウンド2.6ブロックが一番マシでしたねというレヴェル。しかし7-2のセンターがFG成功率で.450も行かないのではそりゃあジャーニーマンにもなるってもんです。センターにしては得意だったはずのFTまで自信を無くしたかのように落としてしまっていましたね。



こんな彼でしたが'96年には映画「エディー 勝利の天使」にてニックスのロシア人選手、イワン・ラドヴァドヴィッチ役で出演しています。アメリカ人なのにロシア人の役ってのがなんだか可笑しいですな。他にもマーク・ジャクソン、ロドマン、ジョン・サリー、リック・フォックス、マリク・シーリー、オスタータグ、ゲイリー・ペイトン等々なかなか懐かしい面々が出演しまくってるので、'90sNBAファンは是非探して見てみて下さい。てか主演ウーピー・ゴールドバーグなんだし1,000円とかで再発してくれりゃあいいのにこれ。アナウンサーはちゃんとマーブ・アルバートだし、試合開始前に本人の目の前でウォルト・フレイジャーの永久欠番ジャージーが焼け落ちるところとかかなり笑えますよ。

http://sports.yahoo.com/nba/blog/ball_dont_lie/post/dwayne-schintzius-got-traded-because-of-his-awesome-hair?urn=nba,wp6940


なお、彼は最初に入団したスパーズを1年で放り出されてますが、スパーズのGMだったボブ・バスはシンサスの髪型が気に入らなかったので、彼に髪をカットしろと言ったなんてエピソードもあります。結局切ったようですが、それでもシンサスはスパーズからトレードされてしまった訳ですね。あんな髪型をしていなかったら、あるいはシンサスの運命も変わって・・・ないかな、あんまり因みに私の手元にある完全NBA選手名鑑'98(ザンダー・ホランダー著/ザ・マサダ刊)にはシンサスは「シンツィウス」と表記されており、右の足首を捻挫して故障者リスト入りした旨の記述の後に「ただの捻挫で欠場ではファンも納得するまい。彼の名の由来は『背が高いが故の裕福』という意味らしい」とボロクソに書かれてますね。



シンサスは結局、'98-'99シーズンにセルティクスでプレーしたのを最後に引退。その後再起をかけて'01-'02シーズンにNBADLでプレーしています。彼が現役最後にプレーしたのはUSBLというマイナーリーグで、'03年の事でした。その後の彼が何故かウェブサイトのCMをやっている謎の映像がYouTubeにありましたのでご覧下さい。



・・・よく分かりませんがなにやってるんでしょうかね結構明るいおっさんなのが伝わってきます。1:20あたりぐらいからの軽やかな身のこなしは必見ですね。うむ、流石NBAでやってただけの事はありますな。

http://www2.tbo.com/sports/prep-sports/2010/jul/13/sp-schintzius-is-grateful-to-be-alive-ar-48053/


そんなシンサスでしたが、'09年の11月に白血病が発覚。その治療の過程で、皮肉にもシンサスの髪は抜けてしまいます。'10年1月には骨髄移植手術を受け、手術は成功したと思われましたが化学療法の過程でシンサスは苦しみました。そして2度目の骨髄移植手術が必要と判明するも時既に遅く、短い生涯を終えてしまったのです。

http://www2.tbo.com/sports/gators/2012/apr/15/13/bay-area-native-uf-star-schintzius-dead-at-43-ar-392821/


せめてもの幸いは、あんな後味の悪い形で飛び出したに近いフロリダ大の試合に、シンサスが'11年に現役時代振りに顔を出したことです。彼は来場を紹介され、トリビュート映像も流されました。シンサスが手を振ると雷のようなオヴェーションで会場が包まれたといいます。

生前シンサスはこう言っていました。

"I never knew there were so many people who cared about me."

"I went through some rough times and because of my size, I was never somebody who could hide. But you know what? You've got to enjoy every day you're on this planet."


この地球上にいる毎日を楽しまなきゃ・・・早世してしまったシンサスからの言葉だからこそ、一層胸に響きますね。大震災にフクシマにと日本の我々も大変な時を迎えていますが、これを読んでいる皆さんは2chのコピペ風に言うならば、シンサスが生きられなかった今日を生きています。シンサスの魂は残念ながら地上を離れてしまいましたが、我々は我々の毎日を大事に生きていきましょう。合掌。

※本文引用以外の参考文献
Wikipedia
スポーツレファレンス.comよりカレッジ時代スタッツ
スポーツイラストレイテッド誌HPよりバックナンバー記事再録「Much Ado About A 'do」
THE CLASSICALより「Consider the Lobster: Dwayne Schintzius and Me」
BRIGHT HOUSE SPORTS NETWORK HPより「BHSN: Local basketball star, Dwayne Schintzius dies」



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