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ブルズ(1勝)103-91シクサーズ
ヒート(1勝)100-67ニックス
マジック(1勝)81-77ペイサーズ
サンダー(1勝)99-98マヴス


☆本日のハイライト
・ブルズ1勝もデリック・ローズが左前十字靱帯断裂のために今季終了
・ニックス惨敗の上にイマン・シュンパートが左前十字靭帯断裂のために今季終了、復帰まで6〜8ヶ月の見込み
・デュラントが決勝ジャンパー、サンダーもまずは1勝

マジックとペイサーズがプレーオフであいまみえるのはこれで3回目となります。1回目はマジックの初プレーオフとなった'94年1stラウンド。シャック&ペニーで50勝を挙げ、ホームコートアドヴァンテージを持って意気揚々と臨んだこのシリーズ、しかしマジックはホームで続けざまに僅差の試合を落とすと第3戦でも成す術無く敗れ、まさかのスウィープ敗退となってしまったのです。

2回目は翌年、'95年でした。ホーレス・グラントとブライアン・ショーというヴェテランを加えて安定感が増したマジックは57勝と白星を伸ばし、東の第1シードとして今度は順調に勝ち上がります。1stラウンドでボストンガーデンでの最後の試合となったセルティクス、カンファレンスセミファイナルでジョーダン2度目の復帰直後のブルズを倒したマジックの前に立ち塞がったのがペイサーズでした。



このシリーズは本当に素晴らしかったです。両者ホームでの試合を一切落とさない緊迫した勝負が続きましたが、中でも第4戦は白眉。ブライアン・ショーの3ポイント→レジー・ミラーの3ポイント返し→アンファニー・ハーダウェイの3ポイント返し、と来て最後はリック・スミッツのワンフェイクでディフェンスを飛ばしてのブザービーター・・・マジックが負けはしましたが、これは本当に素晴らしいシリーズでしたね。最終戦に勝ったマジックがハジけすぎてペイサーズの面々の怒りを買ったのだけは玉に瑕でしたが。

その後、マジックとペイサーズがプレーオフで対峙する事は絶えてありませんでした。シャックを失ったマジックがプレーオフに出られない、出ても1stラウンドで撃沈する日々が続いていたためです。一方のペイサーズはレジー・ミラー現役中はイーストの強豪の地位を保っていましたがロン・アーテスト、スティーヴン・ジャクソンが出場停止を喰らったデトロイトでの乱闘事件などを経て徐々にパワーダウン。ミラー引退後には低迷期に陥っていったのです。

マジックがようやくドワイトを得てプレーオフに復帰し、強豪の地位に返り咲いたのに遅れる事数年、遂にペイサーズも東の上位の位置に戻って来ました。本来ならカンファレンスセミファイナルぐらいで当たってもおかしくなかった両者の対決はしかし、ドワイトの故障という想定外の事態によって1stラウンドで早くも実現する事となったのです。


http://articles.orlandosentinel.com/2012-04-27/sports/os-magic-playoff-predictions-0428-20120427_1_pacers-dwight-howard-magic-gm

先のエントリーでも紹介した通り、このシリーズでマジックが勝つと思っている人は私を含めて殆どいません。オーランドセンチネル紙でやっと、5人中1人がマジックの4勝2敗を予想しているぐらいですからね。ドワイトの不在という致命的な戦力マイナスを抱えるマジックは明らかなアンダードッグです。

http://espn.go.com/nba/preview?id=320428011
http://articles.orlandosentinel.com/2012-04-27/sports/os-orlando-magic-playoff-preview-0428-20120427_1_daniel-orton-dwight-howard-orlando-magic

そんな中、マジックの面々はむしろ戦闘意欲満々。まずはライアンが、

"Obviously, a lot of people are kind of talking us down and telling us what we can't do. And I think that that's really fueling us. It is nice to start with a clean slate. I just think that we play really well with this group."


ドワイト抜きのこのグループでもマジで上手くやれるで!と言って見せればグレン・デイヴィスも、

"I like being the underdog. We have something to prove. We have nothing to lose."

アンダードッグ上等、失うものは無い・・・とこれまたいいコメント。そう、こうなったら居直ってやるだけやってやる、というスタンスで行くしかありませんでした。そしてそんなマジックがこのシリーズで一発ぶちかますとしたら、この初戦以外に考えられなかったのです。

http://scores.espn.go.com/nba/recap?gameId=320428011
http://articles.orlandosentinel.com/2012-04-28/sports/os-orlando-magic-indiana-pacers-0429-20120428_1_live-updates-orlando-magic-dynamic-duo

http://www.orlandopinstripedpost.com/2012/4/28/2985543/indiana-pacers-vs-orlando-magic-nba-playoffs-2012-final-score

ネルソン、J-Rich、タコルー、ライアン、グレン・デイヴィスという先発陣で臨んだマジックでしたが、試合開始直後は完全にペイサーズのペースでした。ドワイトのいないゴールに次々突撃してくるペイサーズの選手達、そしてマジックのオフェンスに立ちはだかるヒバートのブロック。完全にいつもと正反対の状況です。ああやっぱりね〜って感じでしたね、1Qは。9-19とか、まあそんな感じのスコアにもなるよなそりゃあ、と思って見てました。

それが、ベンチメンバーに代わるにつれてマジックの方が押し返し始めたのです。この試合、プレーオフ本番になってマジックは初めてドワイト抜きで良いディフェンスが出来たと言えます。これまでは相手にFG5割を許し続けてきたマジックのディフェンスが効き始め、マジックはなんと21-22まで持ち直して1Qを終えることに成功します。ドワイトの代わりにアール・クラークがブロックで活躍しまくってくれたのは大きかったですね。

2Q、マジックはリチャードソンが頑張ります。まずはQちゃんの方が時間ギリギリの3ポイントとゴールへ突っ込んでのバンクショットを決めてくれました。で、交代したJさんの方はと言えば3ポイントが炸裂。彼の活躍とネルソン、グレン・デイヴィスの得点でマジックは驚いた事に最大8点のリードを奪います。51-44の前半終了は正直大きな驚きでした。前半終了時点でのスタッツ状況をtweetで纏めておいたので、以下自ら引用します。

前半終了時点でORLのFG.417、3FG.429、FT1.000。INDはそれぞれ.378、.333、.600。リバウンドもORL23-IND25とほぼ互角。ブロックもまさかの6-7でほぼ互角。ただ1人で6ブロックのヒバートはブロック込みでトリプルダブルあるな。

そう、殆どのスタッツでマジックはいい勝負でした。高さの差を考えればリバウンドとブロックでほぼ互角ってのは物凄い努力の成果ですよね。一方ヒバートの0スタッツは前半だけでもうこれはトリプルダブル行くなと確信する勢いでした。ま、結果論からすれば行きませんでしたが彼と安定した活躍を見せるデヴィッド・ウエストの存在感は尋常じゃ無かったです。一方でこれも自らtweetしてますが、ネルソンはここまで11得点4アシストTO無しなのは大きかったですね。

3Q、ペイサーズもマジックの攻勢に対応してマジックからTOを誘うと連続得点でマジックのリードを削っていきました。が、この時点でのホークスはマジックを一気に引き離すところまでは行きませんでした。マジックもまた再度突き放す程のパワーは無く、ここは両者13-19とディフェンス合戦と化します。結果64-63という僅差で4Qを迎える事となりました。

が、その4Qは再びペイサーズの攻勢が来ます。ハンズブローの得点×2、ウエストの安定感溢れるジャンパー2本、そして間を空けてのジョージのティップインで10-2のランを完成させたペイサーズは残り5:05で7点のリードを築き上げたのです。直後にタコルーがドライヴからフィンガーロールを決めたとはいえ、これはキビシイ展開でした。1Q序盤みたいな感じで行かれたらマジックに勝ち目は無いよな〜と思いましたね。

ペイサーズはこの終盤、PGにジョージ・ヒルではなくコリソンを起用。彼とネルソンが1本ずつFGを決めた後、グレンジャーがバックコートヴァイオレーションでTO。マジ一句もタコルーがジャンパーを外すもののグレンジャーもジャンパーをミスしたところでタイムアウト。残り2:56、ここからが正にプレーオフタイムでした。

まずはマジック、J-Richがネルソンのアシストから3ポイントを叩き込み、点差を一気に2点に詰めます。対するペイサーズはまずウエストがジャンパーを外します。オフェンスリバウンドを取ったものの押し込み損ねたウエストでしたが、再度オフェンスリバウンドを掴みます。そして3ポイントラインにフリーで待つジョージにボールが渡りました。ヤッベーと思いきや、この3ポイントが外れます。

ところがマジックもネルソンがトラヴェリングでTO。またまたペイサーズのオフェンスでマジックはジョージにフリーの3ポイントを許してしまいました。今度こそヤベー!と思ったら、なんとこれも外れます。マジックも得点止まりっ放しだったこの時間、しかしペイサーズもコリソンの3ポイントミスが続きました。なぜここでペイサーズがサイズのアドヴァンテージがあるウエストやヒバート押しで堅実に点を取りに行かなかったのかなーとは思います。マジックはこの時間帯、無駄に急いでました。特にオフェンスではヒバートがゴール下に戻る前に決める事を考えたか、やたらアーリーオフェンスに行こうとして結果TOだったりシュートミスだったりした訳です。

ディフェンスでも無駄に焦ってた感があって、その最たるものがここで出てしまいました。ボールを持ったもののまだシュート体制だったっけ?って感じだったグレンジャーにタコルーがファウルしてしまったのです。残り1:14、今度こそヤッベーと思いきや、なんとグレンジャーは2本共FTをミス。これは物凄く助かりました。

20秒タイムアウト後、マジックはまたしてもJ-Richがネルソンからのパスで3ポイントを叩き込み、この残り1:09の土壇場で再逆転!この日のJ-Richはとにかく3ポイントが冴えまくってましたが、このクラッチタイムでもやってくれました。20秒タイムアウトを挟んだ後、ペイサーズはグレンジャーが放ったシュートが外れます。セオリー通り時間を使って攻めたマジックはライアンの3ポイントが外れますが、このオフェンスリバウンドをグレン・デイヴィスが掴みます。まずこれが重要なポイントでした。残り時間26.5秒時点でもう一度マジックが攻めるという事は、ペイサーズにとって残り時間が少ないままで最後のオフェンスを迎えるリスクが高くなるという事です。ここはファウルに行く他無く、ネルソンにファウル。大事なFT2本をネルソンはキッチリ揃えて80-77。

20秒タイムアウトを取ったペイサーズはコリソンがミドルを放ちますが外れます。ここでまた重要なリバウンドを掴んだのが、ピンポイントで出場したアール・クラークでした。確かに即座にファウルを受けたのにとどめを刺すFT2本共外してしまったのは頂けませんが、この場合ペイサーズのビッグマン相手にリバウンドを掴んだだけでもグッジョブなので許します。

そして、運命の時間。残り10.3秒、最後のタイムアウトを取ったペイサーズはグレンジャーに託します。彼に付いたのはグレン・デイヴィス。その気迫のディフェンスにグレンジャーの足は止まり、パスを出そうとして歩いてしまったのです。痛恨のトラヴェリングでありました。で、デュホンさん何やってはるんですかw



PDXさんが仰るようにこれがペイサーズの選手達に余計なモチヴェーションをもたらさない事を危惧しますが、差し当たりこれがマジックにとっては大きなプレーでした。グレン・デイヴィスの気迫勝ち、と言っても良いかも知れません。

ここまで来ればもう難しい話ではありません。レディックにボールを持たせ、ファウルを受けてFTラインに立たせれば良いのです。残り6.9秒、レディックは1本目を決めてとどめを刺すと、タイムアウトの残っていないペイサーズのために恐らくはわざと2本目を外しました。リバウンドをウエストが掴み、何とか前線に送ってジョージ・ヒルが3ポイントを放った時にはもう残り時間は1秒、そしてシュートはミス。ここに、誰も予想していなかったマジックのアウェーでの勝利というミラクルが完成したのであります。

http://www.nba.com/games/20120428/ORLIND/gameinfo.html#nbaGIboxscore

両チームのスタッツを比較してみるとFGがマジック.395、ペイサーズが.345。以下3FGが.375/30.8、Fが.727/.591、リバウンドが45/50、アシストが18/17、TOが12/10、ブロックが8/11。FG関係ではマジックが上回ったというより、ディフェンスで頑張った成果でしょう。そしてペイサーズは明らかにゲーム終盤のフィニッシュに失敗しました。フリーのショットやFTを再三外してしまった事が最後のグレンジャーのミスを一層際立たせてしまった格好ですね。

個人スタッツではネルソンが17得点9アシストと一流PGに近いスタッツ。3ポイントを5/8と決めてくれたJ-Richも17得点5リバウンド2スティールでした。グレン・デイヴィスは16得点13リバウンド3ブロックですね。ベンチからはアール・クラークの6得点9リバウンド4ブロックが光りました。秘密兵器(?)オートンは初プレーオフながら37秒しか出番が無く、イッシュ・スミスは出番無しでした。0得点1アシスト2TOのデュホンより使えると思うんだけどなあ。4Qの彼が出ている時間ボコボコにやられて、慌ててネルソンを出すしかなかったじゃないですかヴァンガンディさん。

この日、マジックの選手達はもちろんコメントが熱かったです。グレン・デイヴィスがインディアナの観客に向かって叫んだ「本当にショックみたいだな!」には吹いてしまいましたが、個人的に違う方向の熱さで泣かせてくれるのがネルソン。彼、なんて言ったと思います?

"Spiritually he is here with us."

分かりますね、ドワイトのことです。彼はロサンゼルスでリハビリ中だけど、精神的にはここで僕らと一緒にいるんだ・・・ちょっとちょっと、ネルソンってこんな演歌魂溢れる男だったんですね。ドワイトとは毎日話しているってのがまた泣かせます。ドワイトさん、こういうのを中国の諺で糟糠の妻って言うんですよ。デロンとかクリポとか言ってないでこのままネルソンと添い遂げときなさい。

さて、ともあれ奇跡的に1勝を挙げる事に成功したマジックですが、まあはっきり言ってプレーオフではこんなのは良くある話です。只1勝したに過ぎません。先に4回負ければ大して意味の無い1勝となり、世間はすぐさまマジックの事など忘れます。次勝ってやっと互角ってとこでしょうね。それぐらいペイサーズのインサイドはマジックを圧倒してました。そこを何とか凌げたのはグレン・デイヴィスとクラークの頑張りによるところも大きいです。次はオートンも頑張ってくれよ〜。

なお、これはマジックにとってチーム史上初のインディアナでの勝利。そう、上掲の2回は1度目がスウィープ負け3連敗、2度目が互いにホームでしか勝っていないので今回が初めてなんです。そしてもうひとつ重要な事実があります。スタン・ヴァンガンディはヒートでもマジックでも、プレーオフで第1戦を取ったシリーズで敗退した事は一度も無いんです。このジンクス、果たして今回は通るでしょうか?

ペイサーズがこのまま終わる訳がありません。プレーオフは始まったばかり。戦いはこれからが本番です。次なるマジックの試合にも大いに期待しましょう。





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