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さて、今オフも毎日色々起きつつ進んでますが、このオフの特徴的な動きに皆さんお気付きの事と思います。今オフの主役、それはズバリ制限FAです。

制限FAはご存知の通り、元々所属していたチームにアドヴァンテージがあります。他のチームがオファーシートを現チームに出し、その契約内容に現チームがマッチすれば残留、さもなくばオファーシートを出したチームへ移籍、が基本的な流れです。勿論その前に現チームと交渉して再契約するも良し、はたまたサイン&トレードで移籍するも良しです。これらの場合はオファーシートは必要ありません。

かつて制限FAの移籍は現チーム側があからさまに慰留の意思を見せないケースが殆どでした。例えばマジック時代のミリチッチは本人はピストンズから移籍してそれなりに出場時間も増えて、気を良くした本人もマジックに残留する気満々でしたがマジックのオーティス・スミスGMの方にはその意思が無く、彼への権利を破棄してミリチッチを制限FAから完全FAにしてしまい、ラシャード・「最高額砲」・ルイスを迎え入れたのです。そしてミリチッチはブチ切れ、「スミスがGMのうちはマジックには絶対行かねー」と涙目でグリズリーズへ向かったのです。現在ブルズと接触中らしいミリチッチですが、スミスGMもいなくなりましたしマジック復帰如何でしょー(笑)。

また、制限FA選手が獲得して来るオファーシート自体、そもそもマッチ前提みたいな風潮も正直ありました。実は今回のジェレミー・リンのケースについてもニックスは本来マッチ前提で動いていて、むしろリンに対してどこでもいいからオファーシート取って来て、必ずマッチするから、というスタンスだったようですね。

ところが、近年の制限FA交渉は些か趣を変えつつあります。ここ数年、制限FAに適正と思われる金額より高めの金額を提示し、オファーシートを送りつけるというパターンが散見されました。例えばブルズがマジックの制限FAだったレディックを狙ってきた時なんかがそうです。あれは明らかにブルズが意識的に高値を付けてマジックがマッチしない事を狙っていました。まあマジックはマッチした訳ですが。

今オフは更にその段階から一歩前進して、現チームがマッチし難い契約を意識的にぶちかましてますよね。その結果としてヒバートはブレーザーズから、エリック・ゴードンはサンズからマックス契約をゲットしてきました。ペイサーズ、ホーネッツ共にマッチしたものの、その契約はスモールマーケットチームには重くのしかかります。

また、今回ロケッツが開発した新型オファーシート「3年目にサラリー激増型ライフプラン」は猛威を奮い、早くもロケッツはニックスからジェレミー・リン強奪に成功。更に同じ形態のオファーシートを駆使して、今度はブルズから控えセンターのアシクを引き抜こうとしております。上にも触れた通りでブルズはアムネスティ適用でFAになったミリチッチと接触中という情報もある訳で、つまり早くもブルズはアシク慰留を諦めたのではないかと言われていますね。マッチしたらしたで3年目にサラリーキャップ圧迫必至というこの現所属チームに対する嫌がらせ感満載のオファーシート、今後果たしてリーグに定着してしまうのか注目です。

さて、そんな訳で制限FAも今や現チームの絶対的有利が崩れつつある昨今となり、今までと異なる流れが生まれつつあります。積極的に移籍願望を口にする制限FAの登場です。彼らはまだ現チームがオファーシートにマッチする前から移籍願望を公言して、現チームにマッチしないようアピールしようとするんです。今オフ、そんな選手が2人も出ました。ニコラス・バトゥム、そしてエリック・ゴードンです。

http://espn.go.com/nba/story/_/id/8178326/portland-trail-blazers-match-minnesota-timberwolves-offer-nicolas-batum

バトゥムはつい先だってウルヴスからのオファーシートにブレーザーズがマッチ、残留が確定しましたが、実はウルヴスへの加入を望み、ブレーザーズにマッチしない事をアピールしました。しかしながら、ブレーザーズは早々にオファーシートにマッチする意思を示していたのです。そして互いに「実際はマッチしないだろう」「いや、マッチするさ」と火花を散らしあいました。なにしろ只でさえブレーザーズは一度は引退したエース、ロイをウルヴスに持っていかれています。同じディヴィジョンのライヴァル同士でもあるだけに、お互い譲れなかったのでしょう。因みにまたも話題に引っ張り出しますが、ミリチッチのアムネスティ適用はウルヴスがバトゥムを迎えるためのキャップ空けのためだったのです。まあ来ませんでしたが。

バトゥムについてはBlazermania.jpさんに詳細は譲るとしますが、またバトゥムのケースはマシな方でしょう。エリック・ゴードンのケースはかなりハードでした。熱烈な歓迎と真剣さが伝わる勧誘、そしてまさかのマックス契約とサンズが出してきた誠意にゴードンはすっかりサンズ移籍に本気になりました。結果、ゴードンはサンズに移籍したいという意思を公言、ホーネッツにこれまたマッチしない事を望んだのです。

しかもゴードンはホーネッツに対して厳しい批判を口にしました。このあたりは「ホーネッツと共に」さんに詳しいですが、いやーゴードンさん言っちゃったねえって感じです。確かにオースティン・リヴァースのドラフト指名とかゴードンとポジションモロ被りやんけと思わなくは無いですがね。

http://espn.go.com/nba/story/_/id/8166544/new-orleans-hornets-agree-match-phoenix-suns-offer-eric-gordon

ともあれ、散々ホーネッツ批判をしてしまったゴードンに対して、しかしホーネッツはオファーシートにマッチする事を決定。実はこちらもホーネッツは早い段階からマッチを公言していたのです。

制限FAの扱いで難しいのは、オファーシートにマッチせずに移籍を許した場合、現チームは何らの見返りも無しに彼を失ってしまうという事。まあそれは完全FAとて同じ事なんですが、ただの移籍と異なりオファーシートでの移籍となるとサイン&トレードに発展させる事は出来ないんですよ。

マジックが制限FAだったライアンをホーネッツにサイン&トレードした際、なぜ見返りがアヨンだけなのか不思議に思いませんでしたか。あれはそもそもホーネッツはオファーシートさえマジックに送り付ければ、ホーネッツは何らの代償無くライアンを獲得出来たところを、マジック側から話を持ちかけてサイン&トレードにしたんですね。結果、マジックは無償でライアンを失わずに済みましたし、ホーネッツもマジックがライアンのオファーシートにマッチする懸念から必要以上に高額な契約を出す必要がありませんでした。このディール、今にして思えばWin-Winだったんですね。マジック側とすればもっと良い条件を引き出せなかったのかと考えがちですが、本来何も得られないところから両者にメリットのある形に持ち込んだ訳ですからこれはやはり見事と言うべきでしょう。

そういう訳ですので、オファーシートを出されたチーム側もはいそうですかと簡単に彼を出す訳には行かないんであります。アンソニー・両さん・デイヴィスというセンターピースを得てこれからや!なホーネッツにとっては尚更でした。ゴードンとしては一度は三行半を突き付けたチームに戻る事になって居心地悪そうですが、幸いホーネッツのモンティ・ウィリアムズHCは実にジェントルなコメントでゴードンへの寛容さを見せました。一度他の男に走ってからヨリを戻した彼女に優しい度量の大きい男みたいな感じですな、モンティさん。おかげでゴードンもホーネッツに戻り易くなりました。現在は前向きなコメントを寄せているようですし、とりあえず一安心って感じですね。ホーネッツの水色はマリンブルーではないかも知れませんが、とりあえず紫/オレンジに浮気した若人のハートを完全に取り戻して欲しいですな。

それにしても今オフの制限FAを中心としたオファーシートによる過大な契約の連発は正直、NBAチーム同士でお互いに首を絞めあうだけでしかないよなと最近思います。こんなオフシーズンが何年も続けば、結局サラリーで各チーム行き詰ってしまい、結局今まで通り過大なサラリーに苦しむ選手と経営難に喘ぐチームだけが残るんじゃないかと思うのですけどね。今オフのマジックは恐らくは意識的にそれを避けてますが、この姿勢が数年後に実を結ぶ事を期待したいです。




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