(その1その2その3その4、その5から続く)
2008-2009シーズン。最早イーストの有力チームとして頭角を現しつつあったマジックでしたが、イーストの優勝候補としてマジックを挙げる向きは殆ど無かったと思います。当時はレブロンがキャヴスのキングとして君臨し、毎年のように優勝候補として期待されていました。実際にキャヴスは2007年に既にレブロンの圧倒的パフォーマンスでファイナル進出を果たしており、リーグとナイキ、そしてファンもレブロン対コービーのファイナル激突は時間の問題と思っていたのです。

また、ビッグ3体制を築き上げて既に優勝を勝ち取ったばかりのセルティクスも当然ながら有力なタイトルコンテンダーでした。この頃、イーストの優勝予測はキャヴスとセルティクスに集中し、マジックなどダークホースとしてすらいかほど真剣に優勝候補としての可能性を検討されていたか怪しいものでした。

しかし、マジックはその武器、ドワイト&3ポイント攻勢とリーグ屈指のディフェンスという強力な武器を磨き上げていました。戦力補強も決して派手ではなかったものの、まずは自前のドラフト指名権でコートニー・リーを指名。ドラフトの目玉選手でこそ無かったものの堅実なこの指名、なかなか悪くはありませんでした。またFAではスミスGMのウォリアーズ人脈を生かしてピートラスを獲得します。獲得当時は疑問視されたこの補強でしたが、その成果は後々示されていく事となります。差し当たり、ドワイトとピートラスはその明るいキャラですぐに打ち解けました。

また、ネルソンのシーズン前自主キャンプもこの頃には始まっていました。既にスターとなりオフも休む間の無いドワイトに成り代わり、ネルソンはキャプテンシーを発揮して新戦力をもすぐチームに馴染ませたのです。チームが飛躍する準備は実はかなり整っていたのですね。しかし、このシーズン最初から絶好調だった訳でもありません。特に開幕早々にルディ・ゲイにブザービーター喰らって負けた時はズコーって感じでしたね。おいおい大丈夫かよ、と一瞬押し寄せた不安はしかし、本当に一瞬でした。

マジックはこのシーズン前半をなんと怒涛の33勝8敗で折り返したのです。イーストどころか一時はリーグトップをひた走るマジックの快進撃はリーグにとってちょっとしたサプライズでした。特に圧巻だったのが1月でして、なんとレイカーズ、スパーズ、ナゲッツ、セルティクス、そしてキャヴスと全ディヴィジョンリーダーを撃破してみせたのです。流石の私もこれにはテンション上がりまくりでしたね。これはマジで優勝あるで!と思わない方がどうかしています。3ポイント23本成功という記録を樹立したのもこの時です。





この快進撃の立役者はネルソンでした。アロヨやドゥーリングといった面々と先発PG争いを繰り広げていた時期を越え、ネルソンはこのシーズン完全に先発PGとして定着すると、キャリア最高のシューティングを見せてチームオフェンスを牽引してみせたのです。いわゆるピュアPGとは異なるスタイル故に批判もありましたが、この時期の活躍はコービーまでも一目置いていた程でした。

好調なチームを反映して、なんとこのシーズン、マジックは不動の先発センターとなりつつあったドワイトのみならず、ネルソンとルイスの計3人がオールスターに選出されます。シャック&ペニー時代は2人までしか選出されなかったマジックにとっては当然ながら初の事態です。が、残念ながら実際にオールスターの舞台に立ったのはドワイトとルイスだけだったのです。

ネルソンは2/3、マヴス戦でダンピアーとぶつかって転び、肩を脱臼して手術に踏み切り、戦線離脱してしまったのであります。まともな控えPGはアンソニー・ジョンソンのみだったマジックはキース・ボガンズと交換でティロン・ルーを久々に呼び戻しますが、ネルソンの穴は到底埋まり切るものではありませんでした。



オールスターでドワイトがダンクコンテストに三度出場するもネイト・ロビンソンに敗れ、ルイスはドワイトの控えセンター役をやらされて偉い目にあったオールスターを経て、スミスGMはネルソンがもうプレーオフに間に合わないこのシーズンを諦めずに優勝を狙っていくべく、思い切った補強に打って出たのです。即ち、控えPFブライアン・クックをトレードで放出して、ロケッツからストリートの伝説PG、ラファー・アルストンを獲得したのです

これが功を奏します。ようやくPGの穴が埋まり、マジックは立て直しに成功。残りのシーズンを見事に乗り切ってチーム記録の60勝に迫る59勝を達成したのです。3ポイント記録、オールスター3人選出、スパーズへのシーズンスウィープなど、数々のマイルストーンを達成したマジックはキャヴス、セルティクスに次ぐ第3シードでプレーオフへ突入する事となったのです。

ドワイト個人としては2年連続のリバウンド王に加えてブロック王のタイトルも獲得。ディフェンシヴ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、個人的にも大いに実りのあるシーズンとなりました。勿論、レギュラーシーズンのこの成果のみで満足する訳がありません。ドワイトがこのチームで遂に、真に優勝を目指して戦うべき時がやって来たのであります。

(以下続く)



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