ヒート(4勝)95-88スパーズ(3勝)

ヒートにはジュワン・ハワード、マイク・ミラー、ラシャード・ルイスの3人。スパーズにはT-Mac1人・・・ふふふ、やはり勝負を決めたのは元マジックの選手達であったか!(錯乱)

・・・はい、という事で2010年、セルティクスVSレイカーズ以来の第7戦まで縺れる展開となったNBAファイナルは、最後までどう転ぶか分からない大激戦となりました。気持ちヒート押し気味ながら、1ゴール差に再三詰めるスパーズの姿は熱く、ヒートファンの皆様も試合終盤までまるで安心出来なかった事と存じます。

ただ、この試合は過去のあるファイナルと不思議なぐらい被りました。小林師範とKenchさんでお馴染み、「NBAどうでしょう」7の10冒頭で語られていた'94ファイナル。ニックスとロケッツのシリーズは第7戦まで縺れに縺れたのです。この時、凄まじいシュートスランプに陥ったのがニックスの魂、ジョン・スタークスでした。そして今日、同じ落とし穴に嵌ってしまったのがスパーズのダニー・グリーンだったのです。

第5戦まで3ポイントを決めまくり、ディフェンスでもヒートのファストブレイクを時に1人で対処してみせる程の活躍を見せ、一時はファイナルMVP候補として名前が上がっていたグリーンでしたが第6戦からはヒートの予告通りに沈黙。そしてこの大一番でも全く彼のシュートはもう戻りませんでした。対照的にヒートはここのところ出番を削られていたバティエーがオフェンスで復活、3を決めまくっていたのにはまるでグリーンとバティエーの中の人が入れ替わったかのような皮肉ささえ感じられました。

そしてもう1人、これまたあの時のニックスを彷彿とさせたのはダンカン。まさかのクラッチタイムの同点弾ミス、更にティップインも失敗した事はなかなか衝撃でしたね。Mr.ファンダメンタルとまで言われた男でもこういう事あんのね、と思わずにはいられません。その姿は、まるであの'94年もクラッチショットを外したユーイングのようでありました。まあユーイングと違ってダンカンは何度も優勝してますがね。

ともあれこれでヒートは、昨晩私が予言したような状況なりました。いや、ルイスとレイ・アレンの抱擁は私も未確認なんですけど、きっとやりましたよね?ね?ま、実際真面目にヒートの業績を並べますと、

・レイカーズ以来の連覇達成、しかも3年連続ファイナル進出
・史上初めて、スパーズをファイナルで倒す
・レブロンは2シーズン連続MVP・ファイナルMVP同時受賞
・散々弱いと言われていたクラッチではカンファレンスファイナル第1戦でブザービーター、ファイナル第7戦で試合を決定つけるジャンパーを沈める
・レブロン、キャヴス時代の'07年ファイナル敗退の御礼参りに成功


いやー、スゲえわ。完全にレブロンの時代到来ですね。昨季はレブロン戴冠式ながら、ヒートより若いサンダー相手のファイナルというところが若干残念ではありました。その点、今回はスパーズというレブロンにとっては是非借りを返したい相手でしたからね。名実共にキングとなったレブロンの治世はいよいよ磐石なものになりつつあります。

正直どちらが勝っても全くおかしくなかった屈指の好シリーズの勝負の分かれ目はやはり、残り28秒、5点リードからスパーズがまさかの同点を許した流れでしたね。あのパートであと1本だけでもFTが決まっていれば・・・。しかし、それが勝負ってもんなんです。特にスパーズの若い選手達にはこの経験は身に沁みた事でしょう。

NBAの歴史において、記憶されるのは勝者のみ。準優勝だなんて言っても世間は大抵「( ´_ゝ`)フーン」ってなもんです。ならばせめてヒートとスパーズの大激戦をライヴでつぶさに見た我々は、敗れしスパーズがどれだけ素晴らしかったかを語ろうじゃありませんか。

そして今やはっきりしたように、世は正にレブロン時代。彼を、ヒートを倒さなければNBA制覇は不可能なんです。正直今のイーストでヒートとまともにやり合えるチームはペイサーズ1チームのみであり、些か可能性を残しているのは現状ではニックスぐらい。後のチームは殆どがバックスのように成す術も無く圧倒されて終わるでしょう。

後はウエストですが、スパーズは世代交代が近いです。レイカーズは金満補強がまさかの裏目に出た上にドワイトの慰留さえ不明となって来ました。レイカーズ残留だと思うんだけどなあ。サンダー、グリズリーズ、ウォリアーズ、クリッパーズ、ナゲッツ等々楽しみなチームはありますが、彼らの中でヒートとプレーオフで戦えるのは1チームのみですからね。つー訳で余程の激しい地殻変動がNBAで起きない限り、ヒート1強体制は揺るがないでしょう。

前回エントリーでテキトーに予言したように、このヒート時代の到来はスター選手達の集合をより駆り立てる事になるでしょう。クリス・ポールとドワイトがコンビ結成を真剣に検討し始めるのは確実でしょうね。しかし、恐らくヒート以上のコンビネーションは生まれない事と思います。

一方でスパーズ一味のチーム作りは更に広まる気もしてます。スパーズが優勝すれば尚更そうなったでしょうが、スパーズのDNAを継ぐサンダー、マジック、ホークス、直接には繋がりはありませんが手法的には近いペイサーズ、グリズリーズあたりがヒートに相対する勢力へとのし上がって行くにつけ、リーグのチーム作りのトレンドも変わっていく事でしょう。まあマジックはまだ来季もサブマリン方式でプレーオフ圏外をひた走り、アンドリュー・ウィギンスかジャバリ・パーカーを狙うのだろうと思いますが。

ともあれ、長い長いシーズンが遂に今日終わりました。そしてまた、新たなシーズンの萌芽が始まります。来週の今頃にはいよいよNBAドラフトです。FA選手達の去就、トレード、HC交代・・・シーズンオフもNBAは止まりません。

ヒートファンの皆様は優勝、本当におめでとうございます。そして当面続くだろうレブロン王朝を目一杯楽しんで下さい。あなた達は今、NBA界の頂点にいるのですから。

今季も長い間お疲れ様でした。さあ、希望に満ち溢れた来季への助走を始めましょう。





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