グリズリーズ110-104ウィザーズ
ネッツ96-80ブルズ
ピストンズ96-85ニックス
ヒート124-107ボブキャッツ
バックス114-88ジャズ
ウルヴズ132-128ナゲッツ
レイカーズ107-106ブレーザーズ
キングス96-89ペリカンズ


・・・今日はもう、この話しか出来ないでしょう。何しろキャリアハイですよ、キャリアハイ。え、誰の?そんなの決まってるじゃないですかやだなー。

アンドレ・ドラモンドの26リバウンド!

・・・ハイ、とりあえず一発ボケときました。いやでもドラモンド17得点26リバウンド2スティール3ブロックって凄くね?こんな日でさえなければ、相当注目されていたんじゃないでしょうか。ええ、こんな日じゃなければ。アカデミー賞発表じゃありませんよー、それはもう昨日終わりましたから。

61得点(FG22/33 3FG8/10)7リバウンド5アシスト

こんな化け物じみたスタッツが今日、記録されました。ボブキャッツとの対戦に臨んだレブロン・ジェームズはこの日、まだ先日の鼻の骨折も癒えていない状態でマスクをしたまま、自らのキャリアハイを更新してしまったのです。



このキャリアハイが恐ろしいのは何と言ってもその高確率のFG。66.7%、要するに3本に2本成功。60得点越えでFG成功率もこれだけ高かった選手は2000年のシャック(FG24/35で68.6%、61得点)以来となります。しかも、シャックがセンターであるのに対してレブロンはSF。シャックは決して放たない3ポイントを、レブロンは10本も放ち、しかも普通のFGより高い80.0%決めているのです。今回の記録がシャック以上である所以がお分かり頂けるでしょうか。

度重なるMVP受賞、2連覇と既にレブロンは多くのものを得つつあります。しかし、今日のインスタントクラシックとなる61得点で明らかにレブロンはまた別の次元へ突入してしまった感はありますね。何しろレブロンはこの5試合連続、FG成功率.667以上なんです。そんな選手、私は見た事がありません。シャックみたいなセンターならまだ分かります。しかしレブロンはガタイはPFでも、基本的にはSFなんですよ。



しかし、カーメロが先日キャリアハイの62得点を叩き出したのも今季のボブキャッツ戦だったりするんですよね。おかしい、ボブキャッツのディフェンスはそこまで酷くはないはずなんですが。ま、このクラスのスーパースターがゾーンに入ってしまったら誰にも手がつけられないので仕方ありません。

皆さんご存知のように、私はレブロンの評価には人一倍慎重なスタンスでした。皆さんがレブロンが史上最高の選手だなどと仰っても、私ははいそうですねとは言わずに来たのです。しかし、流石にこれはもう認めない訳には行かないでしょう。

レブロン・ジェームズは今や、歴代トップ10の域に達したと。

え、1位じゃないの?と仰る皆さん、まだまだ早いです。シーズンの平均スタッツでトリプルダブルとか、今よりフランチャイズの数が少なかったとはいえ優勝リングの数が両手の指でも足りないレジェンドセンターとか、1試合100得点にセンター唯一のアシスト王とか、'80年代をほぼ完全に制圧した2人のオールラウンドプレーヤーとか、毎度お馴染み6回優勝の鳥人とか、そんなのがNBAの歴史にはゴロゴロいるんですからね。レブロンはまだキャリアの半ば、これからもっと伝説を積み重ねてもらわないと困ります。

正直、今季のレブロンは相当余裕を持ってプレーしていると思います。先日のマジックとの対戦を見てもそう思いましたが、明らかにレブロンはキャヴス時代みたいなカツカツ状態ではなく、レギュラーシーズンをうまくセーヴしてこなしてますね。この61得点はシュートの入りが異常に良いので、久々に100%本気出してみましたって感じでしょうか。

レブロンが余裕を持ってシーズンを過ごせるのは言うまでもなくヒートでのスリーキングス体制故です。レブロンがヒートを選ばず、たとえばキャヴスに残留していたら・・・とは今でも思います。一方、あの「The Decision」が本当に正しい選択だったのかと言われれば、少なくともレブロン個人のキャリアにとってはそうであったと言わざるを得ません。勝てば官軍なのです。あのままキャヴスに留まって1回優勝していれば、レブロンのステータスはジュリアス・アーヴィングぐらいの域には届いたでしょう。しかし、今はマジック、バード、シャック&コービー、ダンカンの背中が見えつつあります。ヒトはレブロンの偉大な成果のみを覚え、いつしか「The Decision」の際にあったあれこれの騒動は忘れてしまうものなのです。当時を知る者がいなくなればなるほど、尚更そうなっていくでしょうね。

今季のMVPはシーズン前半はポール・ジョージかアルドリッジ、そしてここのところはデュラントが最有力候補だと言われていました。しかし、このレブロン61得点はレブロンこそが依然として現在のNBAでNo.1の選手だということを改めて満天下に知らしめた感があります。




ところで、レブロンがシーズン開幕直後にこんな事を言っていたそうですね。全くの事実なので誰しも、ぐうの音も出ない訳ですが、このコメントを聞いて私が思い出したのは、ある選手の名前です。



ラリー・バード。先ほどから何度か名前を挙げているこのレジェンドはですね、若き日のマイケル・ジョーダンと何度も対戦しています。ナウなヤングの皆様には今の6PEATを達成した成功者マイケル・ジョーダンしかイメージ出来ないと思いますが、初優勝前のジョーダンはピストンズの高い壁に何度となく跳ね返され続け、このまま優勝する事無く終わるのではないかと危惧されたものでした。

そんなジョーダンはバード全盛の'80年代、サポーティングキャストになかなか恵まれなかった事もあってシュートしまくって得点しまくっていたものです。そんなジョーダンのスタッツを見て、ラリー・バードは「こんなにシュート打っていいんなら俺も得点王になれるな」と毒を吐いてみせたのです。バードさん、実は凄まじく毒舌でして、3ポイントコンテストに出れば「2番手になるのは誰だい?(1番は自分だから)」とか普通に言い放つようなヒトなんですよ。

その頃のバードとジョーダンの立ち位置は、今のレブロンとデュラントのそれに重なって見えるんですよね。そもそもNBAの世界では、得点王のいるチームは優勝出来ないというジンクスがあります。得点王は華やかですが、実は他に頼れるスコアラーがいないが故に得点するしかない、という要素があるためです。今季のウエストブルックが欠場しがちなサンダーもそれに近い状況ですね。え、ジョーダンは得点王で優勝した?ええ、だからあのヒトはバケモンなんですよ。

あの頃、'80年代後半にさしかかっていたセルティクスはバード、ケヴィン・マクヘイル(ええ、あのロケッツHCです)、ロバート・パリッシュというビッグ3体制を構築し、既に何度も優勝の美酒を味わっていました。一方のブルズはまだジョーダンのワンマンチーム・・・あれあれ、何だか似過ぎですね。ウエストブルックすらいなかったジョーダンの方がキツかったかも知れません。そろそろピペンとホーレス・グラントが出て来る頃だったかな?

昔話はさておき、レブロンとデュラントの立ち位置は個人レヴェルではMVP争いをしていますが、未だ彼我の差は相当大きいと言わざるを得ません。今季のMVPに誰が選ばれるかはレギュラーシーズンの成績にもよりますからまだ分かりません。しかし、ヒートが1位にならず、レブロンがMVPに選ばれなかったとしてもあまり問題ではないでしょう。レブロンが本気出した時に、彼を止められる選手もチームも殆ど無いのが現状なのです。

この状態はブルズ3PEAT期に似ています。あの時のブルズがレギュラーシーズン何位だろうと、優勝候補No.1の座はブルズから揺らぐ事はまずありませんでした。そしてブルズはお約束のように1stラウンドをスウィープで勝ち上がると、歴戦のライヴァル達を軒並み薙ぎ倒して頂点に立ち続けたのです。ヒートも今や、そういう域に達してしまったのですね。レギュラーシーズンの余力溜め具合ではレブロンの方が上回るかも知れません。そんなチームを倒して優勝出来るのかを、今季の他のタイトルコンテンダーチームは皆問われているのです。ペイサーズやクリッパーズ、サンダーがトレードデッドライン後も補強に必死なのも当然ですね。

No.2は嫌だと言いながら一向にそこから抜け出せないデュラントが、では後のジョーダンのようになるにはどうしたらいいのでしょうか。それにはやはり、ジョーダンと同じ道を行くしかないでしょうね。即ちディフェンスの向上、サポーティングキャストの充実、そしてコーチングです。

ジョーダンはディフェンシヴ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選出されるほど成長し、ピペンとホーレス・グラント(後にロドマン)を得ました。更にHCがダグ・コリンズからあの禅マスター、フィル・ジャクソンに変わって全てが変わったのです。

サンダーの場合、サポーティングキャストはしかし必ずしも悪くはありません。激戦のウエストで1位を張れるのはサンダーの、スパーズDNAを感じる的確なドラフトと補強あっての賜物。ウエストブルック不在時のデュラント以外の得点オプション不足が昨プレーオフの課題となりましたが、そこさえクリア出来れば更に異次元の強さに辿り着ける可能性があります。ブルックスHCについては最近その手腕を疑う声もありますが、今のところまでの成果を見る限りは問題無いハズです。

となると、やはり課題はデュラント自身なのでしょうね。彼がジョーダンやレブロンのようにディフェンスでも成長し、単なる矛だけではなく盾としてもやれるようにならない限り、最強の矛・盾を兼任するレブロンに勝てる訳がないんです。

アシストも年々増え、スティールだって地味に数字を上げているデュラントですが、キングはまだ上にいます。果たして彼がジョーダンのようにいつかレブロンを超えるような存在になれるか、はたまたアイヴァーソンやT-Macのように得点王にはなれてもタイトルには届かず終わるのか。彼の正念場はここからです。願わくば、レブロン式の移籍→スター軍団形成みたいなショートカットを経由する事なく、デュラントがNBAタイトルまで辿り着く事を願いたいものですね。

・・・あれ、今回はデュラント論になっちゃった?(汗)