スパーズ(4勝)104-87ヒート(1勝)

あーあ、最後まで予想当たらなかったなあ・・・。

え、何言ってるんだいスパーズが勝つって書いてたじゃんという皆さん、残念ですがそれは違います。まず、私の予想はスパーズ4勝3敗でした。2敗も星がズレた予想を以って、的中しましたイェーイなどと言い放てる程、わたくし面の皮厚めではございません。

それに、そもそも私の予想は本当のところ、ヒートについては予想とは言いながら実のところはどうせヒート3連覇なんでしょうという諦念込みのものでした。カンファレンスファイナル、つまりペイサーズからは完全にそうでしたね。それでも、このままヒート時代が完全に確定してしまうのもつまんないなーと思ってペイサーズなりスパーズなりの勝利を予想したに過ぎません。よって、ファイナルについても願望込みでスパーズと書きましたが、実際のところはヒートがまたのしてしまうんだろうなあ・・・と思ってました。ヒートが第2戦でホームコートアドヴァンテージを持っていった時は、あーこのままホームでヒートが連勝して一気に王手あるわーとさえ思ったものでしたよ。それが、第3・4戦でまさかのヒート惨敗じゃないですか。

いや、それでも死地に陥ったヒートがここからレブロン無双を軸に第5戦を無理矢理にでも奪取し、マイアミへ取って返してホームでの試合に勝てば第7戦まで持ち込み、昨ファイナルのトラウマをスパーズに思い起こさせる可能性もまだある、そう思わないでもなかったんです。実際、第5戦の初手を取ったのはヒートでした。このシリーズ不調だったチャルマースを先発から外し、代わりにレイ・アレンを起用して、ルイスとのスーパーソニックスコンビを最初から形成して臨んだヒートは試合開始いきなりスパーク、スパーズ側のシュートが決まらないのも手伝って最大16点のリードを奪ったのです。ただ、1Q終了時点ではヒートのリードは7点しかなく、レブロンが17得点も稼いで頑張ったにも拘らずこれだけしかリードを取れなかったあたりに不安を覚えたのも事実でした。

その不安は2Qに早くも具体化してしまいました。スパーズは25-11でこのQを完全に制圧して前半も終わらないうちにあっさり逆転、むしろ7点ビハインドを7点リードに変えて前半を終えてしまいました。そして3Qには更に点差を広げてしまいます。4Qを待たずしてスパーズのリードは19点に・・・。

そして4Q半ば、ヒートは驚く程早く白旗を掲げました。いや、実際には違ったのかも知れません。ヒートは確かにレブロンを下げるのが早かったですが、あれは実際にはチーム敗退の危機に4Q冒頭から試合に出続けたレブロンを少し休ませる作戦だったのかも知れません。実際、その間にもウェイドとボッシュは試合に出続けていました。彼らが繋いで再びレブロンが戻るのを待つ作戦だった可能性はあると思います。戻すタイミングを失っただけじゃないかなーと。

レブロンが思っていたより早くベンチに下がったこと、ベンチで泣いていたように見えたことで一部レブロンへの批判めいたものもありましたが、私は特に批判するには当たらないと思います。恐らくレブロンがこれだけ頑張らなければもっと早くヒートは敗退していたはずですからね。それにファイナルまでのヒートの戦いは盤石でした。ペイサーズ相手の2敗目だってレブロンがファウルトラブルになったが故のハンデマッチだった事は事実でしょう。

また、試合後にポポヴィッチHC、ダンカンはじめスパーズの面々とハグをかわすレブロンの姿は実に大人でした。キャヴス時代、'09年にマジックにカンファレンスファイナルで敗れてまともな挨拶もせずにさっさとロッカールームに逃げ込んだ事を思えば、随分と大人になったものです。正直、レイカーズに敗れて挨拶せずコートを後にしたKGやロンドよりもよっぽどレブロンの方が精神的に成長したと思います。昔の彼と違い、今のレブロンは負けの悔しさを感情に現してしまう事はあっても、それをちゃんと受け入れられるようになったんだなとさえ思いました。これからのレブロンは、むしろ負けた事を糧にして更に上を目指す選手になりそうな予感さえ漂います。もしかすると、レブロンの絶頂期ってこれから来てしまうのかも知れませんよ?

さて、問題はスパーズですよ。エイヴリー・ジョンソン、ショーン・エリオット、そして提督デヴィッド・ロビンソンという、'99年のスパーズとダンカン初優勝のメンバーが見守る中、遂にスパーズは5回目の優勝を成し遂げました。恐ろしい 事にこれはダンカンにとって、'90年代('99)、'00年代('03・'05・'07)、そして'10年代の3つのディケイドに渡ってのチャンピオンという記録をもたらしました。他にこれをマークしているのはジョン・サリーだけですが、彼の場合チームの主力だった時期はピストンズ時代のみ。その意味で'89・'90年のリングは彼自身の努力と貢献が大きかったですが、'96年のブルズ、そして''00年のレイカーズでのリングは正直運が良かった感は否めません。今回ダンカンはチームの中心人物として、しかも同じスパーズでプレーし続けた成果としてこの記録を達成しており、その意味は全く違う重みを持っていると思いますね。



しかも、今回スパーズにとって大きかったのはファイナルMVPを受賞した期待の若手、カワイ・レナードです。まだ22才の彼はNBA史上3番目に若いファイナルMVPとなりました。最新号にインタヴュー記事を掲載したHOOP誌さんが小躍りして喜ぶ姿が目に浮かぶようですが(笑)、これはスパーズのビッグ3体制がビッグ4体制へと移行した事を意味します。しかも、30代超過でおっさん化著しいスパーズの世代交代がスムースに行われつつあるという事です。

レナードについてはKenchさんが早くから、ポール・ジョージの如く成長する事を期待されていましたが、シーズン中には残念ながらそこまでレナードが伸びてくる感じではなかったように思います。それが、このポストシーズンで一気に伸びてきました。Kenchさんの予想は凄いタイミングで的中したのです。ファイナルであのレブロン相手に攻守で見事なマッチアップを見せたその姿は最早ポール・ジョージ級と呼んで差し支え無いレヴェル。いや、ファイナルMVPとなった今ではジョージを超えてしまったかも知れません。少なくとも今は。

正直言えば、既にチームの屋台骨を背負っているジョージと、ビッグ3と共にプレーしているレナードの環境の差を無視してはいけないんですよね。なので単純比較はフェアではありませんが、それを差し引いてもやはり素晴らしい成果ではあります。彼がビッグ3引退後のスパーズの屋台骨を背負っていくのでしょう。FA移籍?うーん、これだけ長いタームで成果を出せる有能なチームと分かった今、レナードが移籍したがる気はしないんですよね。

それに、レナードの存在はビッグ3の引退を先に伸ばすと思います。特にダンカンはもう以前ほどの重責を負わずともいいんです。20-10取れなくとも問題はありません。40才でダンカンが現役続行してても私はもう驚かないと思います。ミスター・ファンダメンタルは伊達じゃなかったって事でしょう。それに、ビッグ3の衰えは若手の成長で埋まることもはっきりしましたからね。

今回のスパーズ王座返り咲きがヤバいなと思うのは、スパーズが5試合中3試合に圧勝した事。いや、両者の力の差が明らかであればファイナルといえども往々にして4-0とか4-1とはありますよ。マジックとかマジックとか(つД`)

でも、今回の場合スパーズが圧勝した相手は2連覇を達成し、3連覇へと邁進していたスーパースターチーム相手ですからね。明らかに強い相手をここまで一方的に圧倒する様子を見ていると、こりゃ第1戦のエアコンゲームの有無に拘らず結果は大して変わらなかったのではないかとさえ思えます。私の知識で、他のシーズンに複数回優勝を果たしていたような真のタイトルコンテンダーを圧倒して優勝したチームなんて、'83年のシクサーズ(ファイナルでマジック・ジョンソン時代のレイカーズをスウィープ)、'01年のレイカーズ(カンファレンスファイナルでスパーズをスウィープ)ぐらいしか記憶にありません。今回のスパーズはそれぐらいのインパクトがあったという事ですよ。

ファイナルが始まるまで、マヴスファンの皆様による「マヴス準優勝説」がありました(笑)。1stラウンドでスパーズ相手に最終戦まで持ち込んだマヴスに対し、その後のブレーザーズ、サンダー、そしてヒートは最終戦を待たずして敗れました。これはもしかして、マヴスが一番強かったんじゃね?という理論です。しかし、ファイナル終了直後にそれを口にした方はあまりおられませんでした。それはそうでしょうね、「あれ、マヴスってどうやってこのチームから3勝も出来たの?」って感じだったでしょうから。

本当のところ、最初から優勝を視野に入れてチームのピークをプレーオフ後半に持ってきたい上位シードチームと、そんな先の事を考える余裕の無い下位シードチームの対戦は得てしてこういう事が起きますよってだけの話であり、マヴスファンの皆様も半ばネタで準優勝と仰っていたことと存じます。まあ、それを差し引いてもマヴスは頑張りましたがね。ただ、そんなマヴスファンのみならず、誰しもが今は、スパーズというチームの美しすぎるチームの完成度の高さに頭を抱えている事でしょう。

長年同じチームでやって来たからこそのビッグ3のハーモニー、完璧なまでのチームマネージメントと的確なドラフト及びFA補強・トレード。ブ厚いベンチメンバー達の能力までフルに発揮させる隙の無いコーチング。これらは一朝一夕で出来上がるものではありません。他チームがスパーズを真似ようったって、それは10年単位での仕事なんですよね。

しかも、レブロンという間違いなくレジェンドクラスのスーパースターを擁し、更にウェイドにボッシュにと歴代トップクラスのビッグ3体制を揃えてもなお全く歯が立たなかった訳ですからね。しかし、ヒートが今からスパーズの手法を導入する事は出来ません。基本的にスーパースター3人でサラリーキャップの殆どを埋めるやり方なんですから。噂のカーメロ招聘で、各人の取り分を減らしてまでもビッグ4体制へ移行し、スパーズの新ビッグ4に挑むという可能性もあるかも知れませんね。

解散の可能性も囁かれていたヒートのスリーキングスですが、この敗戦により解散の目は無くなったんじゃないかと思います。むしろレブロン達はスパーズの面々が元気なうちにリヴェンジを果たしたい気持ちが強くなったんじゃないでしょうか。それにレイカーズやロケッツ、マヴスなんかに移籍したらファイナルまで行く前にスパーズと戦う羽目になりますからね。スリーキングス、カーメロ共に西へ向かう事は無いと予想します。

ともあれ、NBAの歴史がまたひとつ塗り替えられました。そしてまた、新たなシーズンへの助走が始まります。ドラフト、サマーリーグ、FA移籍、そして気が付けば開幕キャンプ。おっと、今夏はサッカーだけじゃなくバスケのW杯も待っていますからね。

ファイナルが終わってもバスケの夏はこれからが本番。皆さん、気を抜いている暇なんかありませんよ!まずは目前に迫って来たドラフトから情報収集頑張りましょう!







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