(その1より続く)
「論理的には、この熱狂は計算に合わない。我々は木材を熟成させる方法、彼らの(優勝)リングを数える事でしばしばアスリートを判断する。レブロンは持っていないが、それでもなお我々は彼をキングと呼ぶ。コービーは5つのリングを、スパーズの半分は3つを持っているが、全ての(NBA)ファンとGMはリングの無いジェームスが来年彼らの(チームの)ジャージーを着てくれるなら、腎臓を提供する準備がある。
多分それは全て、可能性の問題だ。何者も我々をワクワクさせない・・・ゴールドラッシュ、株式公開、ドアナンバー3・・・可能性のようには。そしてジェームスは12才の時から可能性のデカい束であり続けている。過去最高の高校生選手として、彼は2003年ドラフトの1位指名であり、・・・」
面倒になって来たので以下省略しますが、レブロンの選手としての凄さ、キャヴスからの5年マックスオファーをレブロンが受け入れずに移籍の可能性を残しておいた事などが描写された後、レブロン2度目のインタヴューへと話は進むのです。今度の場所はアクロン大バスケットボールアリーナ。インタヴュー部屋がなかなか決まらない中、レブロンは以前に使った事の無い部屋は好まない、他人と初めての部屋は好まない、大き過ぎる部屋はNGなんて子供じみたエピソードが嫌味ったらしく紹介されてます。つか、これらのネタを披露したのは広報の人間です。キャヴスのか、レブロン個人のかは分かりませんが。そんな広報さんは更に、筆者に対して声を潜めてこう言いました。
「シカゴについて尋ねなさい。それからニューヨーク。そしてマイアミ」
レブロンは来年3チームでプレーするんかい、という筆者のツッコミが入ります。
「レブロンは、彼の決断はバスケットボールの決断だと言ってる」
それで?
「その事について尋ねるんだ。でも私があなたに言ったとは彼に言わないように」
筆者はこの妙におしゃべりな広報に「レブロンはニックスに行くと思う」とカマをかけます。彼は目を見開いてそれを否定、更に筆者がヒートについて尋ねると、頭を振りながらウェイド&ボッシュなんて起こり得ない、と否定するのでした。
さてそんな幕間劇はさておき、この頃にはレブロンはヒート、ニックス、ネッツ、ブルズ、クリッパーズ、キャヴスによるチキチキ猛レースの只中にいたのです。各チームがH誌の鈴木千絵さんのページにあった通りに代表をレブロンの元に送り込み、レブロンにアピールしていたんですね。筆者はレブロン周辺筋の情報でキャヴス以外の全チーム(つまりクリッパーズでさえ)が「勝つ事」について話した、と記しています。鈴木千絵さんの記事にもありましたが、キャヴスだけはレブロンの家族の写真までを使い、故郷の話をしたと言います。読者はここで今回の記事序盤、1回目のインタヴュー時にレブロンが話していた事「僕の感情は僕の決断に何の影響も与えない(≒感情に流された決断はしない)」を思い起こし、キャヴスのアプローチが致命的に間違っていた事に思い至る訳です。ただ、キャヴスに同情的な私から言わせれば、キャヴスに他のアピール手段は無かったよなあ、とも思います。何しろキャヴスは補強も新HC人事も、レブロンの去就が決まらない事には動きようがありませんでしたからね。
ともあれ、そんなプレゼン大会を受けたレブロンの二回目のインタヴュー発言は以下の通りです。
「疲れた。沢山の情報だよ。分かるだろ、こう言って来るあるチームからああ言って来る別のチームへ行くもんだから、ハード(管理人注:恐らくは「ハードディスク」の意)ドライヴに蓄積された沢山の情報になるんだよ。」「それでなお、ハード(ディスク)ドライヴは答えを吐き出さない。」
彼は更に1回目のインタヴューで話した事を繰り返します。「結論は1人で出す。誰からの勧めも無しで、だ。」と。しかし、筆者はレブロンのこの言葉を信じないのです。そしてレブロンに尋ねます。
Q.フィジカルの健康は?この7週間で昨日初めてプレーして良さげに見えたが後で肘をアイシングしていた。人々は何かをそこに読み取るべきかな?
A.いや、それは(管理人注:肘の故障に後から)反応して、よりも先手に対応しての事なんだ。そこへ出てってハードなワークアウトをやり、肘が100%健康では無い事に気付いたんだ。とても良い感じだけど、肘が痛んでアイシングしだすまで待たないつもりなんだよ。」
因みにレブロンのトレーナーは肘の状態は話さず、「秘密にしておくよ」と言ってます。
Q.再びプレーオフ(の質問)。なぜ(カンファレンスセミファイナルで)突っ立ってたの?
A.決して突っ立ってなんかいない。そんなの僕じゃないよ。やってみようたって出来なかった。僕と君が今ここで座っているのも落ち着かない気持ちなんだ。
筆者はレブロンの真意、特に最後のセンテンスとプレーオフで突っ立っていた事の関連性が分からないながらもレブロンにとりあえず詫びます。
「いや、オッケーだよ」とすまなさそうに話すレブロンは「僕は人の回りにいるのが好きなんだ」と気を使うのでした。そのレブロンの些か暗い表情からレブロンが父親無しで育った事を思い出した筆者は「レブロンに父親について考えた事はあるか」と尋ねようとした途端、タイミング良く(?)レブロンの5才になる息子に乱入されます。レブロンが彼を行かせてから、インタヴューは再開されました。
Q.(レブロン自身が)父親である事で、自らの父親について考えさせられる?
A.いいや。僕の父を見下そうとか非難しようとかって気は無い。だって僕は昔、彼が何をどうしていたかは分からないからね。僕は知らない事を判断するような人間じゃないよ。僕は(管理人注:自らの子供時代の状況を)理解するには幼過ぎたんだ。父無しに、第一僕はここ、この世界に存在しなかった。そして第二に、僕は沢山の遺伝子を彼から得ていて、それが僕が今日僕足り得る理由の一部なんだ・・・僕が言いたいのは、全く怒りでは無いんだ。全く怒りでは無いんだよ。」
Q.父親に会いたい?
A.ノーだ。
Q.本当に?
A.今?25才で?ノーだ。
Q.多分、より後なら?
A.多分、そうだね。
そしてこの問答の後にいよいよ、この記事の中でも特に世間を騒がせた問題のパートが出て来ます。レブロンは自らがクリーヴランドでは無く、30分ほど南のアクロンの出身であると説明した後、こう語ったのです。
「(管理人注:アクロンからクリーヴランドは物理的に)遠くはないが、(管理人注:心理的に)遠い。そしてクリーヴランドの住人は、僕らが育った頃は(管理人注:アクロン)より大きな都市のキッズ達だから僕らを見下していたんだ・・・だから僕たち(管理人注:アクロンの人間)は本当はクリーヴランド」が好きじゃなかったんだ。僕らは成長期、クリーヴランドを嫌っていた。クリーヴランドには僕らが今日まで未だに嫌う多くの人達がいるのさ。」
・・・この記事が世に出た時、レブロンジャージー野焼き祭の火に油を注いだこの発言でしたが、冷静に文言を読み返してみれば、まずクリーヴランドを嫌っていたという主体は「I(=レブロン個人)」ではなく、あくまで「We(=アクロンの街で育った若者)」である事に気付きます。レブロンはあくまでも一般論としてアクロンで育った人間がクリーヴランドを好きでない、と言っているに過ぎないのです。しかもレブロンの言を見る限り、これはアクロンの人間を田舎者と見下すクリーヴランドの人間にこそ非があります。
また、この発言はあくまで、あの特茶番の前のインタヴューでの話です。彼がこの段階で既にクリーヴランドを離れる決意を固めていた可能性は低くないと私は見ていますが、だとしてもレブロンは何も自らの移籍にショックを受けているクリーヴランドの人間に止めを刺す目的でこんな事を言った、とは断定出来ないでしょう。
もしもレブロンがこのインタヴューの発言が世に出るタイミングを見越し、移籍の予定も織り込み済みで、かつて自分達を見下してきたクリーヴランド市民達への復讐の意味を込めてこの発言をしたとするならば、レブロンは諸葛孔明やヤン・ウェンリーもビックリな策士です。しかし、私はその見方は採りません。三国志演義で張飛の単純な策を曹操軍が勝手に勘繰って勘違いするくだりがありましたが、あれみたいなもんですね。だいたい、そんな事をするメリットが何もありません。レブロンはただ、今まで語られる機会が極めて少なかったであろうアクロン住人達の思いを代弁したに過ぎないと思います。これはむしろクリーヴランドの人間なら怒る前に熟読し、レブロンの意図を理解して反省するべきセンテンスだと思いますね。
ただまあ、やはり物事にはタイミングというものがあります。私はレブロンが話したこの内容自体は都会と地方のギャップを現したありふれた話だと思いますが、移籍の可能性が少なからずあったこのタイミングでの発言はやはり軽率だったかなと思います。じゃあいつなら良かったんでしょうか?この時より前なら「レブロンはクリーヴランドが嫌いと発言→やっぱり移籍か!」とエスカレートするのは目に見えていましたし、勿論この時より後なら火に油どころかガソリンか火薬でも撒いてるようなものです。敢えて言うならキャヴスと再契約してクリーヴランド市民が一番落ち着いたタイミングで釘を刺す意味で言うぐらいがベストでしょうか。
しかしまあ、結局いつであれこの発言はクリーヴランド市民にダメージを与える訳でして、この話を読んでいると、何だかレブロンが今回クリーヴランドを去る決断をしたのもこういう宿命だったのかと思わなくもありません。クリーヴランドでなくアクロンにしか新聞広告を出さなかった意味も、これで理解が容易くなりましたね。発言自体の是非は別ですが・・・。
ともあれ、ここで2度目のインタヴュー内容は終わり、筆者は体育館でレブロンの息子達のバスケ(殆ど遊んでるだけですが)を眺めた後に、その1人と話します。しかし、すぐに彼は去ってしましました。筆者曰く「彼の父親のように」・・・。父さんも速やかにインタヴューを終えた模様ですね。
体育館を出た筆者はレブロンの高校時代のチームメイトにして大親友の1人、ロメオ・トラヴィスと話します。彼はレブロンから、痛みに耐えてプレーする事を学んだと言うのです。「僕はいつも怒ってた。そしてレブロンは、怒ってるだけじゃ何にもならない事を僕に明確に示してくれたのさ。怒りはただ自分を傷つけるだけなんだ」
トラヴィスは更に、「ジェームズはコーチ達やチームメイト達を(管理人注:父親の)代わりとして使う事で怒りを抑えたんだ」と言うのです。「それは彼を本当に助けたネットワークみたいなものだった―――本当には父親を持たない事を解決はしなかったが、痛みを少し和らげたのさ。」「どんなに痛みが残っていても、それについては話さないものさ。高校生仲間の絆はいつも主には言葉はいらないんだ」「全てを議論する必要は無いのさ。僕らは問題を抱えてるのは分かってる・・・僕らは(それを)分かち合いたいだけさ。『やあ、来てゲームが見たいかい?映画を見に行こうせ』なんだってそれだけで1人じゃない、孤独に座ってる必要は無いって分かるんだ」
親友の絆を知りつつ筆者が体育館に戻ると、冒頭の広報にばったり会います。彼は体を筆者に傾け、レブロンが明後日、7/8に彼の決断をアナウンスすると言ったのです。筆者がそれが起きる場所にいたい、と言うと彼は他に誰も聞いていないのを確かめてから、「ニューヨークへ飛び、更に指示を待て」と囁いたのです。
「ニューヨークへ飛んで・・・何だって?」
「更に指示を待て」
「ニューヨーク?つまり(移籍先は)ニックス?」
この質問に彼は、前者の問いにイエスと頷き、後者にはノーと首を降りました。
「何かがニューヨークで起きているのか?」
また彼は首を降ります。
「で、なぜ私はそこへ行くんだ?そしてそこについたら何を期待すればいいんだ?ロシアのスパイとブリーフケースを交換かい?」
「到着したら電話をくれ、次にどこに行くかを伝える」
「次?別の都市って事かい?」
彼は今度は頷きました。
「シカゴ?マイアミ?」
「私は言えない。そして誰にも私が今言った事を伝えないように」
「問題ないね」
翌朝、筆者はテレビでレブロンの特茶番がESPNで放送される事を知ったのです。筆者は例の広報に、ESPNのあるコネティカットに行けば良いのかとメールします。即レスで来た返事は「ノー!ラガーディア(空港)」でした。
筆者はメールを凝視しました。なんで空港を指定するんだ?意味があるのか?なんでJFK(空港)じゃないんだ?それともニューアーク(空港)じゃなく?彼の2語のメッセージに何か隠されたてがかりでもあるのか?(管理人注:ダビンチコードならぬ)レブロンコードか?筆者は「No!LaGuardia.」という広報からのメールをアナグラムよろしく並べ替えながら悩むのでありました。
(以下次回)
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「論理的には、この熱狂は計算に合わない。我々は木材を熟成させる方法、彼らの(優勝)リングを数える事でしばしばアスリートを判断する。レブロンは持っていないが、それでもなお我々は彼をキングと呼ぶ。コービーは5つのリングを、スパーズの半分は3つを持っているが、全ての(NBA)ファンとGMはリングの無いジェームスが来年彼らの(チームの)ジャージーを着てくれるなら、腎臓を提供する準備がある。
多分それは全て、可能性の問題だ。何者も我々をワクワクさせない・・・ゴールドラッシュ、株式公開、ドアナンバー3・・・可能性のようには。そしてジェームスは12才の時から可能性のデカい束であり続けている。過去最高の高校生選手として、彼は2003年ドラフトの1位指名であり、・・・」
面倒になって来たので以下省略しますが、レブロンの選手としての凄さ、キャヴスからの5年マックスオファーをレブロンが受け入れずに移籍の可能性を残しておいた事などが描写された後、レブロン2度目のインタヴューへと話は進むのです。今度の場所はアクロン大バスケットボールアリーナ。インタヴュー部屋がなかなか決まらない中、レブロンは以前に使った事の無い部屋は好まない、他人と初めての部屋は好まない、大き過ぎる部屋はNGなんて子供じみたエピソードが嫌味ったらしく紹介されてます。つか、これらのネタを披露したのは広報の人間です。キャヴスのか、レブロン個人のかは分かりませんが。そんな広報さんは更に、筆者に対して声を潜めてこう言いました。
「シカゴについて尋ねなさい。それからニューヨーク。そしてマイアミ」
レブロンは来年3チームでプレーするんかい、という筆者のツッコミが入ります。
「レブロンは、彼の決断はバスケットボールの決断だと言ってる」
それで?
「その事について尋ねるんだ。でも私があなたに言ったとは彼に言わないように」
筆者はこの妙におしゃべりな広報に「レブロンはニックスに行くと思う」とカマをかけます。彼は目を見開いてそれを否定、更に筆者がヒートについて尋ねると、頭を振りながらウェイド&ボッシュなんて起こり得ない、と否定するのでした。
さてそんな幕間劇はさておき、この頃にはレブロンはヒート、ニックス、ネッツ、ブルズ、クリッパーズ、キャヴスによるチキチキ猛レースの只中にいたのです。各チームがH誌の鈴木千絵さんのページにあった通りに代表をレブロンの元に送り込み、レブロンにアピールしていたんですね。筆者はレブロン周辺筋の情報でキャヴス以外の全チーム(つまりクリッパーズでさえ)が「勝つ事」について話した、と記しています。鈴木千絵さんの記事にもありましたが、キャヴスだけはレブロンの家族の写真までを使い、故郷の話をしたと言います。読者はここで今回の記事序盤、1回目のインタヴュー時にレブロンが話していた事「僕の感情は僕の決断に何の影響も与えない(≒感情に流された決断はしない)」を思い起こし、キャヴスのアプローチが致命的に間違っていた事に思い至る訳です。ただ、キャヴスに同情的な私から言わせれば、キャヴスに他のアピール手段は無かったよなあ、とも思います。何しろキャヴスは補強も新HC人事も、レブロンの去就が決まらない事には動きようがありませんでしたからね。
ともあれ、そんなプレゼン大会を受けたレブロンの二回目のインタヴュー発言は以下の通りです。
「疲れた。沢山の情報だよ。分かるだろ、こう言って来るあるチームからああ言って来る別のチームへ行くもんだから、ハード(管理人注:恐らくは「ハードディスク」の意)ドライヴに蓄積された沢山の情報になるんだよ。」「それでなお、ハード(ディスク)ドライヴは答えを吐き出さない。」
彼は更に1回目のインタヴューで話した事を繰り返します。「結論は1人で出す。誰からの勧めも無しで、だ。」と。しかし、筆者はレブロンのこの言葉を信じないのです。そしてレブロンに尋ねます。
Q.フィジカルの健康は?この7週間で昨日初めてプレーして良さげに見えたが後で肘をアイシングしていた。人々は何かをそこに読み取るべきかな?
A.いや、それは(管理人注:肘の故障に後から)反応して、よりも先手に対応しての事なんだ。そこへ出てってハードなワークアウトをやり、肘が100%健康では無い事に気付いたんだ。とても良い感じだけど、肘が痛んでアイシングしだすまで待たないつもりなんだよ。」
因みにレブロンのトレーナーは肘の状態は話さず、「秘密にしておくよ」と言ってます。
Q.再びプレーオフ(の質問)。なぜ(カンファレンスセミファイナルで)突っ立ってたの?
A.決して突っ立ってなんかいない。そんなの僕じゃないよ。やってみようたって出来なかった。僕と君が今ここで座っているのも落ち着かない気持ちなんだ。
筆者はレブロンの真意、特に最後のセンテンスとプレーオフで突っ立っていた事の関連性が分からないながらもレブロンにとりあえず詫びます。
「いや、オッケーだよ」とすまなさそうに話すレブロンは「僕は人の回りにいるのが好きなんだ」と気を使うのでした。そのレブロンの些か暗い表情からレブロンが父親無しで育った事を思い出した筆者は「レブロンに父親について考えた事はあるか」と尋ねようとした途端、タイミング良く(?)レブロンの5才になる息子に乱入されます。レブロンが彼を行かせてから、インタヴューは再開されました。
Q.(レブロン自身が)父親である事で、自らの父親について考えさせられる?
A.いいや。僕の父を見下そうとか非難しようとかって気は無い。だって僕は昔、彼が何をどうしていたかは分からないからね。僕は知らない事を判断するような人間じゃないよ。僕は(管理人注:自らの子供時代の状況を)理解するには幼過ぎたんだ。父無しに、第一僕はここ、この世界に存在しなかった。そして第二に、僕は沢山の遺伝子を彼から得ていて、それが僕が今日僕足り得る理由の一部なんだ・・・僕が言いたいのは、全く怒りでは無いんだ。全く怒りでは無いんだよ。」
Q.父親に会いたい?
A.ノーだ。
Q.本当に?
A.今?25才で?ノーだ。
Q.多分、より後なら?
A.多分、そうだね。
そしてこの問答の後にいよいよ、この記事の中でも特に世間を騒がせた問題のパートが出て来ます。レブロンは自らがクリーヴランドでは無く、30分ほど南のアクロンの出身であると説明した後、こう語ったのです。
「(管理人注:アクロンからクリーヴランドは物理的に)遠くはないが、(管理人注:心理的に)遠い。そしてクリーヴランドの住人は、僕らが育った頃は(管理人注:アクロン)より大きな都市のキッズ達だから僕らを見下していたんだ・・・だから僕たち(管理人注:アクロンの人間)は本当はクリーヴランド」が好きじゃなかったんだ。僕らは成長期、クリーヴランドを嫌っていた。クリーヴランドには僕らが今日まで未だに嫌う多くの人達がいるのさ。」
・・・この記事が世に出た時、レブロンジャージー野焼き祭の火に油を注いだこの発言でしたが、冷静に文言を読み返してみれば、まずクリーヴランドを嫌っていたという主体は「I(=レブロン個人)」ではなく、あくまで「We(=アクロンの街で育った若者)」である事に気付きます。レブロンはあくまでも一般論としてアクロンで育った人間がクリーヴランドを好きでない、と言っているに過ぎないのです。しかもレブロンの言を見る限り、これはアクロンの人間を田舎者と見下すクリーヴランドの人間にこそ非があります。
また、この発言はあくまで、あの特茶番の前のインタヴューでの話です。彼がこの段階で既にクリーヴランドを離れる決意を固めていた可能性は低くないと私は見ていますが、だとしてもレブロンは何も自らの移籍にショックを受けているクリーヴランドの人間に止めを刺す目的でこんな事を言った、とは断定出来ないでしょう。
もしもレブロンがこのインタヴューの発言が世に出るタイミングを見越し、移籍の予定も織り込み済みで、かつて自分達を見下してきたクリーヴランド市民達への復讐の意味を込めてこの発言をしたとするならば、レブロンは諸葛孔明やヤン・ウェンリーもビックリな策士です。しかし、私はその見方は採りません。三国志演義で張飛の単純な策を曹操軍が勝手に勘繰って勘違いするくだりがありましたが、あれみたいなもんですね。だいたい、そんな事をするメリットが何もありません。レブロンはただ、今まで語られる機会が極めて少なかったであろうアクロン住人達の思いを代弁したに過ぎないと思います。これはむしろクリーヴランドの人間なら怒る前に熟読し、レブロンの意図を理解して反省するべきセンテンスだと思いますね。
ただまあ、やはり物事にはタイミングというものがあります。私はレブロンが話したこの内容自体は都会と地方のギャップを現したありふれた話だと思いますが、移籍の可能性が少なからずあったこのタイミングでの発言はやはり軽率だったかなと思います。じゃあいつなら良かったんでしょうか?この時より前なら「レブロンはクリーヴランドが嫌いと発言→やっぱり移籍か!」とエスカレートするのは目に見えていましたし、勿論この時より後なら火に油どころかガソリンか火薬でも撒いてるようなものです。敢えて言うならキャヴスと再契約してクリーヴランド市民が一番落ち着いたタイミングで釘を刺す意味で言うぐらいがベストでしょうか。
しかしまあ、結局いつであれこの発言はクリーヴランド市民にダメージを与える訳でして、この話を読んでいると、何だかレブロンが今回クリーヴランドを去る決断をしたのもこういう宿命だったのかと思わなくもありません。クリーヴランドでなくアクロンにしか新聞広告を出さなかった意味も、これで理解が容易くなりましたね。発言自体の是非は別ですが・・・。
ともあれ、ここで2度目のインタヴュー内容は終わり、筆者は体育館でレブロンの息子達のバスケ(殆ど遊んでるだけですが)を眺めた後に、その1人と話します。しかし、すぐに彼は去ってしましました。筆者曰く「彼の父親のように」・・・。父さんも速やかにインタヴューを終えた模様ですね。
体育館を出た筆者はレブロンの高校時代のチームメイトにして大親友の1人、ロメオ・トラヴィスと話します。彼はレブロンから、痛みに耐えてプレーする事を学んだと言うのです。「僕はいつも怒ってた。そしてレブロンは、怒ってるだけじゃ何にもならない事を僕に明確に示してくれたのさ。怒りはただ自分を傷つけるだけなんだ」
トラヴィスは更に、「ジェームズはコーチ達やチームメイト達を(管理人注:父親の)代わりとして使う事で怒りを抑えたんだ」と言うのです。「それは彼を本当に助けたネットワークみたいなものだった―――本当には父親を持たない事を解決はしなかったが、痛みを少し和らげたのさ。」「どんなに痛みが残っていても、それについては話さないものさ。高校生仲間の絆はいつも主には言葉はいらないんだ」「全てを議論する必要は無いのさ。僕らは問題を抱えてるのは分かってる・・・僕らは(それを)分かち合いたいだけさ。『やあ、来てゲームが見たいかい?映画を見に行こうせ』なんだってそれだけで1人じゃない、孤独に座ってる必要は無いって分かるんだ」
親友の絆を知りつつ筆者が体育館に戻ると、冒頭の広報にばったり会います。彼は体を筆者に傾け、レブロンが明後日、7/8に彼の決断をアナウンスすると言ったのです。筆者がそれが起きる場所にいたい、と言うと彼は他に誰も聞いていないのを確かめてから、「ニューヨークへ飛び、更に指示を待て」と囁いたのです。
「ニューヨークへ飛んで・・・何だって?」
「更に指示を待て」
「ニューヨーク?つまり(移籍先は)ニックス?」
この質問に彼は、前者の問いにイエスと頷き、後者にはノーと首を降りました。
「何かがニューヨークで起きているのか?」
また彼は首を降ります。
「で、なぜ私はそこへ行くんだ?そしてそこについたら何を期待すればいいんだ?ロシアのスパイとブリーフケースを交換かい?」
「到着したら電話をくれ、次にどこに行くかを伝える」
「次?別の都市って事かい?」
彼は今度は頷きました。
「シカゴ?マイアミ?」
「私は言えない。そして誰にも私が今言った事を伝えないように」
「問題ないね」
翌朝、筆者はテレビでレブロンの特茶番がESPNで放送される事を知ったのです。筆者は例の広報に、ESPNのあるコネティカットに行けば良いのかとメールします。即レスで来た返事は「ノー!ラガーディア(空港)」でした。
筆者はメールを凝視しました。なんで空港を指定するんだ?意味があるのか?なんでJFK(空港)じゃないんだ?それともニューアーク(空港)じゃなく?彼の2語のメッセージに何か隠されたてがかりでもあるのか?(管理人注:ダビンチコードならぬ)レブロンコードか?筆者は「No!LaGuardia.」という広報からのメールをアナグラムよろしく並べ替えながら悩むのでありました。
(以下次回)
NBA ヒート レブロン・ジェームズ ネックストラップ(ブラック) Miami Heat Black Lebron James Lanyard
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