http://sports.espn.go.com/nba/news/story?id=6527372
既に報じられていますが、元NBA選手だったロバート・トレイラーが34才の若さで急逝しました。先にお亡くなりになったエスカレードと言い、やはりといっては何ですがこういう体格の方は心臓発作などの形で急逝される事が少なくないようですね・・・
彼のプレーヤーとしてのキャリアはNBAより前、高校〜大学時代にハイライトがあったと言えます。何しろ彼はKG、ポール・ピアース、カーター、ロン・マーサーと同じ'95年のマクドナルド・オール・アメリカンに選出されていますからね。なお、この時KGとピアースは同じチームでプレーしていたというネタもあったりしますが。
NCAAではミシガン大へ進学、モーリス・テイラーやメイシオ・バストンとフロントコートを形成。この時点で彼の体格は身長6-8に対して体重300ポンド以上という完成形になっていました。そんなNCAAデビューイヤーに、彼はなかなかインパクト満点なダンクをぶちかましていました。
そう、リム破壊ダンクです。NCAAではなかなか見た記憶が少ないですな。ともあれこのシーズンは9.0得点5.9リバウンドをマークします。そして翌'96-'97シーズン、ミシガン大はNIT(所謂NCAAトーナメントとは別です)を制覇してトレイラー自身もトーナメントのMVPに選出され、シーズン成績も13.1得点7.7リバウンドと向上。更に翌シーズンには16.2得点10.1リバウンドという成績でチームをリードし、ビッグ10トーナメントを制してこちらでもMVPを受賞するとNCAAトーナメントでは第3シードで参戦。但しこちらは2回戦で敗退しました。
http://sports.espn.go.com/nba/news/story?id=3040936
ところが、ミシガン大のNCAA規定違反(要するにトレイラーやウェバーなど複数の選手が高校時代から金銭的援助を受けていた)が'07年になって露呈したため、彼のミシガン大時代の成績は全て抹消、上記の2つのMVPも剥奪。おまけに高校時代の'94-'95シーズンの成績までも抹消となったのです。こういった経緯のためか、ミシガン大のHPには今回のトレイラー逝去のニュースが見当たりません。流石にコメントは上記ESPNの記事などを見る限り出しているようですが。
また、同じミシガンのライヴァル、ミシガン州立大のACを当時務めていたトム・クリーン(現インディアナ大HC)はtwitterで彼への弔意を示しています。このつぶやきから暫くトレイラーの話を続けていますが、ESPNで要約した分を以下に示します。
"At Michigan State we battled against him and he might have been the most time-consuming and mind-challenging matchup we ever faced and we as coaches weren't even playing. He had great feet and hands and a very soft touch...You really had to have a plan to stop him."
ともあれ、彼は'98年のドラフトにエントリーします。1位から順にオロワカンディ、ビビー、ラフレンツ、ジェイミソン、カーターと指名が続いた後に、彼はマヴスにより6位での指名を受けました。この後の指名もジェイソン・ウィリアムズ、ヒューズと続いたこの豊作年ドラフトにあって、トレイラーはドラフト会場にてトレードされます。9位で指名された、ドイツからやってきた7フッターの若人との交換でバックス入りとなった事が、皮肉にもNBAにおいて彼のイメージを決定付けてしまいました。
ユーロ圏からのドラフトエントリー、しかもドイツからという事で多少の知名度はあったものの、ドラフトではダークホース程度のイメージだった彼、ダーク・ノヴィツキーを取ったマヴス。そして一旦彼を指名しながら放出したバックス。ノヴィツキーが徐々に真価を発揮するようになる毎にマヴスはその英断を称えられる事となりました。それはトレイラー、そして彼を獲得したバックスの評価を下げる事をも意味していたのです。
http://www.basketball-reference.com/players/t/traylro01.html
率直に申し上げれば、彼のNBAでのキャリアはドラフト6位指名という期待にそぐわないものでした。1年目こそ短縮日程の全50試合中49試合出場、43試合先発を果たしたものの5.3得点3.7リバウンド止まり。その後は先発の機会も徐々に失われていきました。NBAでの平均得点およびリバウンドが2桁に及んだシーズンは一度として無く、バックス→キャヴス→ホーネッツ(シャーロット時代1年、ニューオリンズ時代2年)→キャヴスと些かジャーニーマンな彼のNBAは7シーズンで終わりを告げたのです。因みに最後のキャヴス時代はレブロンのキャヴス時代2年目ですね。
しかし、NBAを去った後も彼はプロバスケット選手としてのキャリアを継続します。トルコ、イタリアセリエA、メキシコ、そしてプエルトリコ。'10年にはプエルトリコリーグでのディフェンシヴ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのです。そのプエルトリコでのアパートで、彼は今回倒れたのです。奥さんと通話中に発作を起こしたようで、第一通報者も奥さんだったようですね。
http://sports.espn.go.com/espn/commentary/news/story?id=6533306
http://www.slamonline.com/online/nba/2011/05/131207/
今回この記事を書くために、私にとって決して知識量の多くないトレイラーという選手について色々と調べてみましたが、彼の人柄を誉める記事が多かった印象が強いですね。特にこのESPNとSLAM誌の記事にはライターのトレイラーに対する愛情のようなものが感じられた気がします。NBAを7年で去った上位指名選手への扱いとしては上々じゃないでしょうか。実際、最後に在籍したプエルトリコのチーム、Vaqueros de Bayam���n(スペイン語。英語に直すとBayamon Cowboys)でも彼の逝去を惜しむ声は多いです。人柄、って奴でしょうか。
NBA時代はどうしてもノヴィツキーとのセットで語られていた事もあって、彼はドラフトの失敗例として語られる以外でNBAに名前を残す事は残念ながら無いでしょう。上記の金銭的援助以外にもトラブルがあったのも事実です。しかし、選手としての実績は無くとも、彼は十分に愛される素晴らしい人間だったという事が分かっただけ、私はこのエントリーを書いて良かったなと思います。
♪それぞれひとつのライフ、それぞれが選んだスタイル、とはRIP SLYMEの「One」でしたか。NBA選手として大成しなかったとしても、トレイラーは多くのものを得ていたんだな、としみじみした次第です。合掌。
※参考文献
Wikipedia
BASKETBALL-REFERENCE.comより個人スタッツ
BASKETBALL-REFERENCE.comよりトレイラー追悼記事
グッジョブ! (通常盤)
アーティスト:RIP SLYME
ワーナーミュージック・ジャパン(2005-08-31)
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グッジョブ! (初回生産限定盤)(DVD付)
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既に報じられていますが、元NBA選手だったロバート・トレイラーが34才の若さで急逝しました。先にお亡くなりになったエスカレードと言い、やはりといっては何ですがこういう体格の方は心臓発作などの形で急逝される事が少なくないようですね・・・
彼のプレーヤーとしてのキャリアはNBAより前、高校〜大学時代にハイライトがあったと言えます。何しろ彼はKG、ポール・ピアース、カーター、ロン・マーサーと同じ'95年のマクドナルド・オール・アメリカンに選出されていますからね。なお、この時KGとピアースは同じチームでプレーしていたというネタもあったりしますが。
NCAAではミシガン大へ進学、モーリス・テイラーやメイシオ・バストンとフロントコートを形成。この時点で彼の体格は身長6-8に対して体重300ポンド以上という完成形になっていました。そんなNCAAデビューイヤーに、彼はなかなかインパクト満点なダンクをぶちかましていました。
そう、リム破壊ダンクです。NCAAではなかなか見た記憶が少ないですな。ともあれこのシーズンは9.0得点5.9リバウンドをマークします。そして翌'96-'97シーズン、ミシガン大はNIT(所謂NCAAトーナメントとは別です)を制覇してトレイラー自身もトーナメントのMVPに選出され、シーズン成績も13.1得点7.7リバウンドと向上。更に翌シーズンには16.2得点10.1リバウンドという成績でチームをリードし、ビッグ10トーナメントを制してこちらでもMVPを受賞するとNCAAトーナメントでは第3シードで参戦。但しこちらは2回戦で敗退しました。
http://sports.espn.go.com/nba/news/story?id=3040936
ところが、ミシガン大のNCAA規定違反(要するにトレイラーやウェバーなど複数の選手が高校時代から金銭的援助を受けていた)が'07年になって露呈したため、彼のミシガン大時代の成績は全て抹消、上記の2つのMVPも剥奪。おまけに高校時代の'94-'95シーズンの成績までも抹消となったのです。こういった経緯のためか、ミシガン大のHPには今回のトレイラー逝去のニュースが見当たりません。流石にコメントは上記ESPNの記事などを見る限り出しているようですが。
また、同じミシガンのライヴァル、ミシガン州立大のACを当時務めていたトム・クリーン(現インディアナ大HC)はtwitterで彼への弔意を示しています。このつぶやきから暫くトレイラーの話を続けていますが、ESPNで要約した分を以下に示します。
"At Michigan State we battled against him and he might have been the most time-consuming and mind-challenging matchup we ever faced and we as coaches weren't even playing. He had great feet and hands and a very soft touch...You really had to have a plan to stop him."
ともあれ、彼は'98年のドラフトにエントリーします。1位から順にオロワカンディ、ビビー、ラフレンツ、ジェイミソン、カーターと指名が続いた後に、彼はマヴスにより6位での指名を受けました。この後の指名もジェイソン・ウィリアムズ、ヒューズと続いたこの豊作年ドラフトにあって、トレイラーはドラフト会場にてトレードされます。9位で指名された、ドイツからやってきた7フッターの若人との交換でバックス入りとなった事が、皮肉にもNBAにおいて彼のイメージを決定付けてしまいました。
ユーロ圏からのドラフトエントリー、しかもドイツからという事で多少の知名度はあったものの、ドラフトではダークホース程度のイメージだった彼、ダーク・ノヴィツキーを取ったマヴス。そして一旦彼を指名しながら放出したバックス。ノヴィツキーが徐々に真価を発揮するようになる毎にマヴスはその英断を称えられる事となりました。それはトレイラー、そして彼を獲得したバックスの評価を下げる事をも意味していたのです。
http://www.basketball-reference.com/players/t/traylro01.html
率直に申し上げれば、彼のNBAでのキャリアはドラフト6位指名という期待にそぐわないものでした。1年目こそ短縮日程の全50試合中49試合出場、43試合先発を果たしたものの5.3得点3.7リバウンド止まり。その後は先発の機会も徐々に失われていきました。NBAでの平均得点およびリバウンドが2桁に及んだシーズンは一度として無く、バックス→キャヴス→ホーネッツ(シャーロット時代1年、ニューオリンズ時代2年)→キャヴスと些かジャーニーマンな彼のNBAは7シーズンで終わりを告げたのです。因みに最後のキャヴス時代はレブロンのキャヴス時代2年目ですね。
しかし、NBAを去った後も彼はプロバスケット選手としてのキャリアを継続します。トルコ、イタリアセリエA、メキシコ、そしてプエルトリコ。'10年にはプエルトリコリーグでのディフェンシヴ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのです。そのプエルトリコでのアパートで、彼は今回倒れたのです。奥さんと通話中に発作を起こしたようで、第一通報者も奥さんだったようですね。
http://sports.espn.go.com/espn/commentary/news/story?id=6533306
http://www.slamonline.com/online/nba/2011/05/131207/
今回この記事を書くために、私にとって決して知識量の多くないトレイラーという選手について色々と調べてみましたが、彼の人柄を誉める記事が多かった印象が強いですね。特にこのESPNとSLAM誌の記事にはライターのトレイラーに対する愛情のようなものが感じられた気がします。NBAを7年で去った上位指名選手への扱いとしては上々じゃないでしょうか。実際、最後に在籍したプエルトリコのチーム、Vaqueros de Bayam���n(スペイン語。英語に直すとBayamon Cowboys)でも彼の逝去を惜しむ声は多いです。人柄、って奴でしょうか。
NBA時代はどうしてもノヴィツキーとのセットで語られていた事もあって、彼はドラフトの失敗例として語られる以外でNBAに名前を残す事は残念ながら無いでしょう。上記の金銭的援助以外にもトラブルがあったのも事実です。しかし、選手としての実績は無くとも、彼は十分に愛される素晴らしい人間だったという事が分かっただけ、私はこのエントリーを書いて良かったなと思います。
♪それぞれひとつのライフ、それぞれが選んだスタイル、とはRIP SLYMEの「One」でしたか。NBA選手として大成しなかったとしても、トレイラーは多くのものを得ていたんだな、としみじみした次第です。合掌。
※参考文献
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BASKETBALL-REFERENCE.comより個人スタッツ
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