(その1から続く)

そのややイケメンな選手、ハーダウェイが新人ながら早くもマジックの中心人物となりうる期待の星であることは、予備知識が薄かった私にも分かりました。シャックとペニー、2人のヤングスターの1-2パンチがリーグを席巻するのにあまり時間はかからず、ジョーダン引退後のNBAを背負って立つのは彼らだと強く信じた私は、応援するチームを選び間違ってなかったなと思ったものでした。

コンビ結成1シーズン目こそペイサーズに1stラウンドでスウィープを喰らったものの、案の定2シーズン目にしてマジックはH.グラントとB.ショーを加えるという的確な補強もあって飛躍の年を迎えます。MJが現役復帰したブルズまでも撃破した若きチームは勢いに任せて一躍ファイナルまで勝ち進む快進撃を見せます。ファイナルこそロケッツにスウィープ負けを喰らったものの、マジックのNBA制覇は時間の問題とさえ思えたものでした。

が、翌シーズンブルズがロドマン加入もあってNBA最強チームとなります。マジックもイーストでブルズと張り合えると目される強さを見せたものの、ポストシーズンではブルズの前のまたもスウィープ負け。そして、シーズン序盤のシャック欠場時にペニーがチームを引っ張るほどの大活躍を見せたことが結果的にシャックとペニーの間に溝を作ってしまいました。

シャックがレイカーズへFA移籍した後、マジックはプレーオフを一度として勝ち上がる事は出来ませんでした。ペニーがMJ並みの大爆発を見せた'97プレーオフもヒートの前に屈し、名将チャック・デイリーを迎えた1年目はペニーがほぼシーズンを欠場したこともあってプレーオフどころか勝率5割維持がやっと、そして久々にペニーが復活して好成績を収めた'98−99シーズンもシクサーズにアップセットを喰らうという非情な結果に終わります。

ペニーの度重なる故障、ブライアン・ヒルHCの辞任劇の首謀者と目されたこと。そして一度はファイナルまで上り詰めたチームの足踏み状態からくる地元メディアとファンの鬱屈とした不満がペニーを追い詰めました。元々精神的にタフなタイプではなかったペニーはとうとうフロントとも決裂、サンズへ移籍する事となるのです。

その後、ペニーはサンズでもスパーズ相手に目覚しい活躍を見せた事もあったものの、やはりポストシーズンの勝者足りえることはなく、更にニックスへとトレードされます。ニックスでも元オールスターの輝きを見せられなかったペニーはマジックへトレードで復帰するも即解雇となり、'90年代からのファンが夢見たグラント・ヒルとのタンデムは実現しませんでした。

そんなペニーのキャリアに重なるように、マジックもまた大きな成果を得られない状態が続きます。ペニーやニック・アンダーソンといった生え抜きの選手達を根こそぎ放出してサラリーキャップを空け、グラント・ヒルとトレイシー・マクグレディーのコンビを結成したものの、ヒルがほぼ毎シーズンを棒に振るという大誤算でチーム構想は呆気なく崩壊します。ペニーのファンでもあったT-MACの大ブレイクは大きなプラスだったものの、彼もまたペニーと同じくフロントとの確執からチームを離れることとなってしまったのです。

今季、マジックはオーヴァーペイドとの謗りを受けながらもラシャード・ルイスをFAで獲得、若きオールスターセンター、ドワイト・ハワードとのコンビで再度ポストシーズンでの飛躍を伺っています。一方1シーズンの全休を経てNBAに戻ったペニーは、36才にして今一度花を咲かせようとしています。

マイアミ半島のライヴァルチームたるヒートで、シャックとペニーの名コンビが復活するという事実にはどうにも複雑な心境ではありますが、マジック対ヒートの対決が例年以上に興味深いものになることだけは確かですね。そして、願わくばその時、ペニーが往年の輝きを幾分でも取り戻して欲しいものだと思う次第です。