マジック(4勝)102-92ラプターズ(1勝)
ホークス(2勝)97-92セルティクス(2勝)
レイカーズ(4勝)107-101ナゲッツ

http://www.nba.com/games/20080428/TORORL/boxscore.html

ここにも書きましたが、正直ラプターズとの対戦はかなり厄介だなと思ってました。シーズン対戦成績こそ3勝1敗ですが、3勝中1勝はシーズン序盤のマジックがイケイケだった時期の対戦、もう1勝はボッシュ不在時の白星。むしろボッシュとカルデロンにボコられた1敗が頭にある私としては、1stラウンドで一番当たりたくない相手だなとさえ思っていました。ホームで2連勝した後でさえその危惧は変ることは無く、むしろ第3戦でPGコンビにしてやられた時はそれ来た、このまま2-2で返されたら面倒だぞと思ってました。3-1と決定的なリードを奪ってさえ、いやいや第5戦を落としたらまだまだ分からんぞと思ったものです。慎重過ぎる?いえいえ、3勝1敗で負けた'03プレーオフ、1stラウンドのピストンズ戦での事を忘れてないだけの話です。

敵地トロントでの王手の後にホームでのゲーム、しかもタコルーのMIP受賞セレモニーもあっての試合と何もかもマジックに追い風の中で迎えた第5戦。しかし、ラプターズにしてみればシーズンをここで終えないためにも必死の抵抗をしてくる事は目に見えていました。毎度お馴染みとなりつつあるタイガー・ウッズ、そしてルーキーシーズン途中にマジックに加入し、上記'03プレーオフも、その翌シーズンのドワイトを呼び込む礎となった悪夢の負け越しシーズンも経験した現ブルズのグッデンが観戦する中、運命の第5戦が始まりました。先発陣は両チーム、ここ2戦と全く同じです。

試合開始20秒でバーニャーニが2ファウルを喫するのを尻目に、マジックは第4戦の立役者ルイスの3で快調な滑り出し。エヴァンスやドワイトのダンクも決まり序盤はマジックが押しますが、ムーンとカルデロンが2本ずつ3を沈めたこともあって、1Qはラプターズが22-26とリードして終了。2Qはほぼ互角な展開になりつつややマジックが押し戻し、49-50とがっぷり四つ相撲で後半を迎える事となります。

3Qに入っても勝負はまだ見えません。MIP男タコルーがドライヴからのダンクを見せればムーンはアリウープダンクと互いに譲らない試合展開が続きましたが、ラプターズはエースのボッシュがドワイトに阻まれて今ひとつ調子に乗れません。このQでやっと8得点でストレスも溜まったか、残り55秒時点でドワイトのフックバンクショットに対しファウルが過ぎてテクニカルの笛を吹かれてしまいました。74-68、ややマジックがリードを広げて4Qへ突入です。

ドワイトのフックショット、FT×2、ダンクでいきなり80-72と逃げ切りに入るマジックに対し、ラプターズもカポノとボッシュが得点を重ねて84-82まで追いすがります。が、ルイスのアシストでボガンズの3、タコルーのアシストでドワイトのレイアップ、またタコルーのアシストでネルソンの3が決まって残り2:57で92-82、ラプターズはたまらずタイムアウト。

まだ終わる訳には行かないラプターズ、タイム明けにボッシュがダンクを叩き込んで味方を鼓舞しようとしますが、その希望を打ち砕くかのようにまたまたタコルーのアシストからボガンズが3を沈めます。ジャンパーを落としたカルデロンがネルソンにファウルし、FT2本が決まって97-84。その後パーカーの3が入って97-87となるも、11秒後にタコルーが切り込んで祝砲代わりのダンクを叩き込みます。カルデロンのレイアップもカポノの3も最早時既に遅く、後はルイスとネルソンがキッチリFTを沈めるだけでした。マジックは遂に難敵ラプターズを下し、'96シーズン以来となる1stラウンド突破を、今プレーオフ出場チーム中の一番乗りで達成したのです。

この大一番で21得点21リバウンド3ブロックと、5試合中3試合目となる20-20を叩き出すドワイトという才能に、マジックは本当に感謝感謝ですね。シャック移籍以降初の1stラウンド突破という事実が、優秀なビッグマンの必要を改めて思い知らしめてくれます。ルイスは18得点13リバウンド4アシストと、本来SFの選手とは思えないリバウンド数でしたし、ネルソンも19得点3アシストとまたも頑張りました。MIP男タコルーはエヴァンスと並ぶ12得点に加え、8リバウンドと9アシスト。今日は得点面より終盤のアシストで魅せました。彼ら先発5人に加え、ボガンズの11得点で計6人が2桁得点であります。

1勝4敗でシリーズ敗退が決定したラプターズですが、第2戦での大接戦を考えれば実質2勝4敗に近いシリーズでした。また第3戦でのPGタンデムの活躍はラプターズというチームの将来性を見せ付けるものであり、今後ともイーストでの強力なライヴァルとしてマジックに立ち塞がる事でしょう。これからもドワイトとボッシュのビッグマン対決を軸に盛り上がる対戦になる事は間違い無いと思われます。ただ、第1・2戦で先発メンバーを入れ替えた事は結果的に裏目に出た訳で、某バスケ漫画の「奇策に出たら負ける」という台詞が思い出されます。ミッチェルHC、もしかすると危うい立場かも知れません。

ともあれ、ラプターズという難敵をプレーオフで倒した事は若いマジックにとっても素晴らしい経験になった事でしょう。たとえこの後敗退したとしても、この経験は来季以降も大きな自信に繋がるはずで、その意味でも、マジックファンとしてはむしろここまでハードに戦ってくれたラプターズに感謝の気持ちで一杯です。

ところで次の対戦相手は現在2-2と膠着状態のピストンズ対シクサーズの勝者であり、早期決着は無さそうな雰囲気です。ええ、もちろんシクサーズの方がホームコートアドヴァンテージもあるので有利ですが、ピストンズに昨季の借りを返せるかどうかというのも見ものではあります。もしもそのカンファレンスセミファイナルをも突破出来れば、'96プレーオフに辿り着いたカンファレンスファイナル進出と、いよいよ明るい光が見えてきます。セルティクスもピストンズも何やらもたついている今、意外に早くファイナル進出のチャンスもあったりして・・・それは夢見過ぎですね、ハイ。

ともあれ、1stラウンド突破一番乗りを果たしたマジックとしては背中を痛めているネルソン、そして故障中のブライアン・クックの怪我を癒す貴重な時間を得る事が出来ました。後はドワイトがまたハードな練習が過ぎて新たにチームメイトを怪我させない事を祈りつつ、次のラウンドの対戦チームが決まるのをじっくり待ちましょう。

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