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※今回は私が最も敬愛し信頼する映画評論ブログ、(´-`).。oO(蚊取り線香は蚊を取らないよ)トリビュート企画です。本家が更新されなくて残念なので、もしレビュー書かれてたらこんな感じかなと思って書きました。完全ネタバレですので、これから映画鑑賞ないしDVD購入をご検討の方はご覚悟の上でお読み下さい。そしてつぶあんこさん、もしもご覧になられましたら笑って許して下さいませ、いやむしろ厳しくレビューのレビューをお願いしますm(__)m

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『ジャッキー・チェン ドラゴン特攻隊』『金城 武 チャイナ・ドラゴン』
など、エンタメ路線の作品を得意とするチュウ・イェンピン監督の手がけた台湾映画。

言うまでもなく『少林サッカー』の大ヒットの延長線上にある作品である今作、作品内でもわざわざバスケットボールを始める前に「サッカーやるか?」という台詞を入れる自虐ネタが笑えるが、「リバウンドを制する者はバスケを制す」という「スラムダンク」の台詞がそのまま引用されている点、チームのキャプテンの妹がチームのエースに思いを寄せている点、しかもそのエースには相手にされない妹に主人公が惚れるなど、これまた『少林サッカー』同様に日本マンガの影響を強く感じさせる作りとなっている。

幼くして親に捨てられ、カンフー学校で育てられた結果学校きっての使い手になるという導入部は無難な入り方なのだが、最初に主人公を拾って預けたホームレスが後の主人公並みのハイジャンプを見せて飛んでいくくだりがストーリーと全く関係無いのが気にかかる。また、主人公が成長し、一旦学校を追い出されるまでのくだりまでの細かいギャグがことごとく外し気味なのは残念。

主人公をバスケの道へ誘うリーとの出会いからカンフーアクションへの流れは前半の見せ場として十分機能しているが、学校を追い出されるまでに師匠4人との絆もあまり掘り下げた表現が無く、これでは後でピンチに陥った主人公を助ける場面での説得力が薄れてしまうのもマイナス。また、学校を追い出された主人公が第一大学バスケットチームに入学するまでのくだりが性急に過ぎるのが辛い。尺の都合でカットせざるを得なかったものと思われるが、このあたりはDVD発売の際に補完が望まれるところ。

ただ、肝心のバスケットボールのシーンは半ばやり過ぎ感があるぐらいのワイヤーアクション使用がハマっており、ここは高評価。『少林サッカー』と方法論は全く同じながら、サッカー以上に三次元での動きを要求されるバスケットボールという競技の特性がここではアドヴァンテージになり、激しくゴールし過ぎてネットが燃え尽きる、といった類の演出を使わずとも十分楽しめるアクションとなっており、またその動きもAND1などに代表されるストリートバスケットのムーヴを取り入れた、バスケットボールファンにも違和感の薄いものとなっている(明らかにゴールテンディングのプレーなどもあるが、ストリートバスケの動きと考えれば
OKか)。

決勝戦での相手チームキャプテンとの絡みはやや説明不足の面もあるものの、相手チーム入場のシーンはある種吹く事必至。試合展開の流れはなかなか秀逸であり、また逆転のブザービーターの行方、逆転の秘策が全く観客の予想外の展開を見せるなど、このあたりの脚本は良く練り込まれている印象。

主人公の親が名乗り出るくだりのフェイントもなかなか上手く出来ているが、そこからラストへのストーリー展開が吉本新喜劇のようなしんみり演出で終わるのは若干違和感の残るところ。主人公とヒロインとの恋の行方も多分上手く行ったんだろうとは思わせるものの、これまた説明不足な終わり方なのは惜しまれる。

音楽面では日本映画界の音楽プロデューサー、石川光IDEA Inc.が敢えて中国的な要素もヒップホップ路線も除外したサントラを作っており、これは好印象。バスケットボール≒ヒップホップカルチャーという認識は確かに間違いでは無いが、アジア発の作品でまでそれを必ず踏まえなければならない道理も無い。テンプレート的な流れをスルーした点は評価したい。

興業としては今ひとつ大ヒットとはいかなかったようだが、DVDにて完全版でリリースされ、説明不足の部分が補われれば一層作品としての出来は良くなると思われる。既に続編の製作も決定しているが、マンネリ感を出す事無くどんな新しい技・ギミックが登場するか期待。

蛇足:
上映前に『フライング☆ラビッツ』予告編が流れていたが、確かノンフィクションベースだったはずなのに石原さとみがどうみてもダンクとしか思えない動きを繰り出していて吹いた(笑

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